「ブラック・バッジ・カリナンの撮影会にいらっしゃいませんか?」というお誘いを受けて、海のそばのスタジオへ脚を運んだ。ところが鎮座していたのは、なぜか紫色のカリナン。聞けば、グローバルでのローンチ・モデルの外装色はその名の通り黒である。とはいえそこはさすがロールス・ロイス。ペイントは4万4000色の中から選択できる上、カスタマーの好みでビスポーク注文も可能だ。じっくりと眺めてみると、艶を抑えた黒のグリルとフライング・レディが、トワイライト・パープルという名の紫の車体のおかげでより際だって見える。後席の刺繍をはじめ、あちこちに配されている∞のマークは、1937年に速度記録をマークしたロールス・ロイスのエンジンを積むハイドロプレーン、ブルーバードK3の船体に描かれていたものが由来だという。

6.75ℓV12ユニットの最高出力と最大トルクは600psと91.8kgmまで引き上げられ、シフト・レバーのLOWボタンを押すことで排気音を変化させることも可能だ。ステアリング・フィールや4輪操舵の制御、シフトの変速タイミングや速度、さらにはサスペンションの設定も「ロールス・ロイスの貴族的性格を損なうことなく」スリリングさが得られるものになっているという。価格は4530万円(10%税込)〜で、デリバリーは2020年第一四半期を予定している。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=神村 聖