【11月28日 AFP】イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は27日、ガソリン価格の値上げをきっかけとする激しい抗議デモの後、「非常に危険な」陰謀を阻止したと発表した。

 イランは抗議デモについて、米国やイスラエル、イランが「テロ組織」とみなす反体制派組織「ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構〈MKO〉)」などの外敵の支援を受けた「悪党ども」のしわざだと非難してきた。

 ハメネイ師は国営テレビを通じて、「破壊と凶行、殺人に多額の資金をつぎ込んだ、深く巨大で非常に危険な陰謀を国民が阻止した」と述べた。

 抗議デモは今月15日、同国内のガソリン価格を直ちに最大200%値上げするとの発表の数時間後に発生。警察署への襲撃やガソリンスタンドの給油ポンプへの放火、店舗での略奪が起きるなどデモが暴動に発展する中、インターネットがほぼ全面的に遮断された。暴動は数日内に鎮圧され、ほぼ全域でインターネットが復旧。27日夜には、携帯電話サービスも復旧した。

 イラン当局は5人の死亡を認め、これまでに「首謀者」約180人を含む約500人を逮捕したと発表した。

 一方、米ニューヨークに本部を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、暴動の鎮圧で100人超が死亡し、数千人が逮捕されたことを「意図的に隠している」として、イラン政府を非難している。

 複数の人権団体によると、インターネット遮断の狙いは、反対意見の表明を抑え込み、暴動の動画がオンライン上に流出するのを防ぐことだという。この影響で、鎮圧による被害の全容把握も困難となった。

 英ロンドンに国際事務局を置く国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は25日、「信ぴょう性の高い報告」として、143人が死亡したと発表した。(c)AFP