【12月8日 AFP】故郷フィリピンから何千キロも離れた韓国の山村で、エマ・スマンポン(Emma Sumampong)さん(48)は、年老いた義理の母親(89)を介護しながら、夫と子どもたちの世話をし、一家の農場で働き、さらにパートタイムの仕事もこなしている。

 エマさんは韓国人男性と結婚し、急速に高齢化が進む韓国に移住してきた数万人の一人だ。韓国では、妻は夫だけでなく義理の両親の世話もすることが期待されており、この因習を嫌って結婚しない韓国人女性も増えている。

 それを補っているのが、エマさんのような外国人の女性だ。エマさんはフィリピンの教会が運営する結婚仲介サービスで、夫のイ・ビョンホ(Lee Byung-ho)さんと知り合った。

 エマさんの一日は午前5時に始まる。起床して家族のために朝食を作り、家事をこなしてから3人の子どもたちを学校に送っていく。その後、役場で事務員として働き、午後に仕事がない時は、家族の野菜畑の世話、夕食作り、掃除をして、子どもたちの宿題を手伝う。

 エマさんはさらに、支えなしでは歩けない義理の母親の介護を主に担っており、トイレや風呂、着替えなどを手伝っている。エマさんは夫の父親についても、2012年に死亡するまで介護をしていた。

 エマさんの尽力は評価された。6月に国の「家庭福祉会(Family Welfare Association)」から、義理の両親への「親孝行」を認められ「孝婦」として表彰されたのだった。

 孝婦賞は、外国人には特別なカテゴリーが設けられてはいるが、あらゆる人が対象となっている。だが、伝統的に「嫁」の役割だとされている義理の両親の世話を進んでしようとする韓国人女性は年々減っている。