【11月27日 AFP】フィリピンの野党議員が26日、同国の電力供給が中国によって遮断される危険性を調査するよう上院に求めたと表明した。送電公社の社長は、電力網を遠隔停止させることは「可能だ」と証言しているという。

 中国の国有送電会社、国家電網(State Grid Corporation of China)は、2009年から送電施設を運営している民間企業、フィリピン全国送電社(NGCP)の株式の40%を保有。そのNGCPは、フィリピン政府所有の国営送電公社(TransCo)を25年にわたり営業・経営する権利を取得している。

 野党所属のリサ・ホンティベロス(Risa Hontiveros)上院議員は、上院による調査を求める決議を提出した。同議員によると、中国の技術者らが違法に送電施設を運営し、施設所有者であるフィリピン政府が手出しできなくなっているとの報告が複数存在する。

 両国は、戦略的に重要で、天然資源の豊富な南シナ海(South China Sea)の海域と島々をめぐり係争関係にあるが、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は対中貿易や中国からの援助と投資を優先し、問題を棚上げしてきた。

 フィリピンの憲法は、公益企業の幹部はフィリピン人でなければならないと規定。ホンティベロス議員は、中国の技術者を雇うことは違憲だと主張している。

 同議員によれば、TransCoの社長は先週、上院の聴聞で「中国のような敵対的な第三者が国の電力網を遠隔停止させることは可能だ」と証言。さらに、NGCPがTransCoによる送電施設への全面的なアクセスを拒んでいると述べた。(c)AFP