【11月27日 CNS】阿里巴巴集団(アリババグループホールディング、Alibaba Group Holding)が26日、香港証券取引所に株式を上場した。寄り付きは6.25%超となり、その後上げ幅が7%を超えて189香港ドル(約2630円)をつけた。アリババの時価総額は4兆香港ドル(約56兆円)を超え、騰訊(テンセント、Tencent)の現在の時価総額約3兆2700億香港ドル(約46兆円)を上回り、アリババがテンセントに成り代わり「香港株式の王」となったことを表している。

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 アリババは今回、5億株の普通新株の発行および枠外としての7500万株を超えない範囲の普通株新株の発行を実施。アリババは20日、最終販売価格を176香港ドル(約2450円)に設定、調達資金総額は約880億香港ドル(約1兆2250億円)、追加発行分を加えると、調達総額は1010億香港ドル(約1兆4060億円)、香港証券史上3位の新株となる。

 アリババ集団の張勇(ダニエル・チャン、Daniel Zhang)最高経営責任者(CEO)は15日、投資家に対してコメントを発表し、「アリババが2014年に初めて株式上場をした際には、残念なことに香港をスルーしたが、香港で上場することは、20歳の若さのアリババにとって新たなスタートポイントとなる」とその気持ちを語った。

 専門家の分析によると、アリババが香港に上場するもくろみは、「資金に困っていない」アリババは実は資金を必要としているからだ。近年、アリババは物流、新小売りなどの領域で巨大な投資を行ってきた。2018年以降、アリババは相次いで食料品配達の「餓了麼(Ele.me)」、宅配便の「中通快逓(ZTO Express)」、SNS型ECアプリの「小紅書(RED)」に投資するなど、大きな資金需要に直面している。

 この他、米中間の貿易摩擦の下で、米財務省は中国関連株の米国証券市場からの退出を否定してはいるものの、中国企業に対する圧力となっており、資金調達ルートを広げ、リスクを緩和しておく必要性もある。

 今回、アリババが香港市場に上場することは、香港の資本市場にとっても重大な意義がある。今年は暴力事件が香港経済に深刻な影響をもたらしている。香港特別行政区政府の経済顧問弁公室は、近ごろ2019年の香港経済成長予測をマイナス1.3%に下方修正した。香港の年間経済成長率がマイナスとなれば、2009年以来初めてのこととなる。

 アリババの香港上陸は、香港証券市場に活気をもたらすだけでなく、テンセントと共に香港証券市場の王座に上ることを意味する。アリババの参入により、香港はインターネット経済がさほど進んでいないエリアから、テンセント、アリババ、出前サービスの美団(Meituan)、スマートフォン大手の小米集団(シャオミ、Xiaomi)などの中国大陸の優れたIT企業が競って集う場所となった。今回のIPOは今後、他のIT企業が香港で上場をする上で、一つの模範となるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News