【11月26日 AFP】マレーシアの連邦裁判所(最高裁)は26日、インターネット上で偽の恋人にだまされ、マレーシアへ薬物を運ぶ役割を担わされたと主張しているオーストラリア人の被告の女に対し、死刑判決を破棄し、無罪を言い渡した。

 マリア・エルビラ・ピント・エクスポスト(Maria Elvira Pinto Exposto)被告は2014年12月、クアラルンプールの空港での乗り換え中に、リュックサックのポケットに縫い付けられた結晶メタンフェタミン1.1キロを所持していた容疑で逮捕された。

 エクスポスト被告は2017年、リュックで薬物を運んでいるとは知らなかったとの主張が認められ、一審では無罪が言い渡されたが、検察側はこの判決を不服として控訴。翌年の2018年、上訴審は無罪判決を覆し、同被告に死刑判決を言い渡した。

 イスラム教徒が国民の大半を占めるマレーシアでは、一定量の規制薬物を所持した場合、死刑判決が下される。

 だが、行政首都プトラジャヤ(Putrajaya)の連邦裁判所は無罪判決を言い渡し、エクスポスト被告の釈放を命じた。

 4人の子どもの母親である同被告は、インターネットで知り合った「ダニエル・スミス将軍」と呼ばれる自称米軍人の男に会うために中国へ向かい、そこで見知らぬ人物から、オーストラリアに運ぶよう頼まれたリュックを預かったと主張していた。中国では男に会うことはできず、オーストラリアへ戻るためマレーシアへ立ち寄ったという。(c)AFP