【11月26日 AFP】香港の区議会議員選挙で民主派が圧勝し、親中派のエスタブリッシュメント(既成勢力)を痛烈に批判する結果となったことについて、中国の国営メディアは26日、投票結果を軽視したり正当性を疑ったりする趣旨の報道を行った。

 香港区議選で中国政府による支配からの解放を目指した民主派候補らは、計452議席の中で圧倒的多数を獲得した。しかし、中国中央テレビ(CCTV)など国営メディアの26日の報道は、勝利した民主派候補に一切触れていなかった。

 共産党機関紙の人民日報(People's Daily)は、「社会不安が選挙の過程をひどく混乱させている」と報道。英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は社説で、投票結果は「不正工作」と「脅迫行為によってゆがめられた」と述べ、「特別行政区(香港)で数か月に及ぶ反政府運動をあおっている外部勢力は、親エスタブリッシュメント派の候補らの勝機を大きく妨げる一因ともなっている」と続けた。

 新華社(Xinhua)通信は英語版の解説記事で、香港区議選は「暴徒」の「犠牲となった」と主張。「愛国的候補の中には、選挙運動を深刻に妨害された候補もいる。彼らの選挙事務所は破壊され、火をつけられた」「1人の候補は襲われて負傷した。愛国的候補らに対するハラスメントは投票当日に起きた」と報じた。

 新華社はさらに香港の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官への支持を表明し、「香港社会は、香港と中国本土との関係を正しく理解すべきだ」とつづった。

 CCTVの看板ニュース番組「新聞聯播(Xinwen Lianbo)」の25日夜の放送では、香港の選挙が取り上げられることもなかった。(c)AFP