■可能性を秘めた仏産日本酒

 日本酒市場が拡大する中、起業家らは参画の機会をうかがっている。目を付けたのは、フランス産の日本酒だ。

 すでに2社がフランス国内で日本酒の製造を行っているが、いずれの醸造所もワインの生産地にある。だが、日本酒の製造、販売を行うWAKAZEの代表取締役、稲川琢磨(Takuma Inagawa)氏(31)には別のアイデアがある。仏パリ南郊フレンヌ(Fresnes)の酒蔵で、日本酒を造ることだ。

 日本人であり、また、産業の発達したフレンヌという土地での酒造りではあるものの、稲川氏はフランスの良き伝統を日本酒に取り入れることに意欲的だ。「フランス産の米を使いたい」と話す稲川氏の酒蔵には、「カマルグ(Camargue)産」と表示された米の袋が山積みにされている。

「フランス人は日本酒を受け入れるだろう。持続可能性を重視するトレンドがあるため、フランス産の日本酒は可能性を秘めている」と稲川氏は話す。

 稲川氏はいつか、ブルゴーニュワインの貯蔵に使われていたオークだるで寝かせた日本酒を造りたいと考えている。フランスと日本双方の愛好家から好まれると見込んでおり、日本ではすでに1万7000本が製造されている。