豪に亡命希望のスパイは「無職の逃亡者」 中国、信用失墜狙いか
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【11月24日 AFP】中国のスパイとされる男性が、香港などにおける中国の政治干渉活動に関する膨大な情報をオーストラリア当局に提供し、オーストラリアへの亡命を希望していると報じられたことを受けて、中国は23日夜、この人物は詐欺の前科がある無職の男で、パスポートなどの偽造の疑いを掛けられて逃亡中だと発表した。男性の信用を失墜させるのが狙いとみられる。
豪メディア大手ナイン(Nine)系列の有力紙エイジ(The Age)とシドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)の報道によると、この男性は王力強(Wang Liqiang)氏(26)。王氏はオーストラリアの防諜(ぼうちょう)機関に対し、香港で活動する中国軍の情報将校の身元と、香港と台湾、オーストラリアで行われている活動の内容と資金源に関する詳細な情報を提供した。
王氏自身も、香港と台湾、オーストラリアのすべてで、潜入工作や妨害工作に関与していたという。
しかし上海警察は中国当局として初めて王氏に言及し、実態は異なるとの見解を示した。
上海警察がソーシャルメディアの公式アカウントで発表したところによると、王氏は今年2月に総額460万元(約7100万円)の自動車輸入絡みの詐欺に関与した容疑が持たれており、今年4月から捜査が行われている。また別の詐欺事件で2016年に執行猶予付きの禁錮1年3月を言い渡されたという。
上海警察は、「公安部門が確認したところによると、外国メディアが『中国のスパイ』と報じた王力強は、無職の逃亡者である」と述べた。さらに、王氏が持つ中国のパスポートと香港の居住証明書は「偽造品」で、「さらなる捜査」を進めているという。(c)AFP