【11月23日 AFP】オランダに住むベルギー人少年のローラン・シモンズ(Laurent Simons)君は、他の9歳児と同じく、テレビや家族の飼い犬が好きだ。だが一方で、人工臓器を作りたいとも思っており、間もなくその道に進むための学位を手にする見込みだ。

 ローラン君は来月、オランダのアイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology)から電気工学の学士号を授与され、世界で最も若くして大学を卒業した人物の一人となる予定。通常3年間かかる学士課程の修了にかかった期間はわずか9か月だ。

 オランダの首都アムステルダムでAFPの取材に応じたローラン君は、自分の偉業に浮かれた様子を見せず、「普通」のことだとする一方で「すごい」ことであるとも語った。また「ゴーカートが大好き。あとは僕の犬と遊んだり、ネットフリックス(Netflix)を見たりすることも好き」だとも語った。

 父親のアレクサンダー(Alexander Simons)さん(37)と母親のリディア(Lydia Simons)さん(29)はオランダでの仕事が忙しかったため、ローラン君は今年初めまでベルギーの港湾都市オステンド(Ostend)で祖父母に育てられていた。ローラン君は4歳で入学した小学校を1年半で卒業。小学校から大学の修了までにかかった年数はわずか5年となる。

 アレクサンダーさんは「最終的に大事なのは、息子が人生を楽しみ、子どもでいること、いたずら好きでいることができるようにバランスを取ること」だと述べた。リディアさんは「息子が他の子たちよりずっと頭がいいことは、息子を育てていた祖父母から既に聞いていた。(中略)学校に行く年齢になると、息子はより高いレベルのテストを与えられ続けた」と説明した。

 アレクサンダーさんはベルギー人の歯科医で、オランダの港湾都市ロッテルダム(Rotterdam)で歯科医院を経営。リディアさんはオランダ人で、夫の歯科助手として勤務している。2人はローラン君に「完全に専念する」ため、医院を売却する予定だ。ローラン君は一人で大学に通うには年齢が低すぎるため、毎日大学への送迎が必要となる。

 両親は、ローラン君にとっては簡単な科目でも自分たちには「まったく理解できない」と認めている。ローラン君が飼い犬以外でいつもそばに置いているものには、ノートパソコンと集積回路に関する本がある。

 12月の大学卒業後の目標は、「延命のための人工臓器を作る」こと。その理由は、自身の祖父母のような心臓病患者を助けたいからだという。「どうやるのかは、まだこれから考えてみないと。まだ始めたばかりだから」とローラン君は語った。

 両親は現在、ローラン君のさらなる進学を視野に、複数の米大学と連絡を取っている。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK