【11月26日 CNS】中国・広西民族博物館(Anthropology Museum of Guanxi)は15日、6か国の科学者18人が、190万年前の巨猿(ギガントピテクス)化石の中から遺伝物質を抽出することに成功したと発表した。

 早期に絶滅したとされるこの物種とアジア・オランウータンの間に密接な進化の関係があり、巨猿はおよそ1200万年前にアジア・オランウータンの家族から分離し、その後進化独立したものと確認したとしている。亜熱帯の化石の中で、これほど太古の昔のたんぱく質のエビデンスを抽出したのは初めてだ。

 世界的学術雑誌「ネイチャー(Nature)」は14日、「歯エナメル質のプロテオームは巨猿がオランウータンの早期分化したメンバーであることを表している」と題する研究報告を掲載した。報告は中国、デンマーク、フランス、スペイン、ドイツ、英国の6か国、異なる分野を専門とする科学者18人の共著による。

 彼らはデンマークのコペンハーゲンで先進的な古代たんぱく質の配列測定技術により、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)で発見された190万年前の巨猿の歯の化石のエナメル質の中から、遺伝情報を抽出することに成功。科学者らはこれに鑑み、巨猿と現在東南アジアで生息するオランウータンとの進化の関係を再構築したとしている。

 巨猿は地球上に生息した最大の霊長類で、200万年前に出現し、約30万年前に絶滅したとされる。巨猿は人類の2~3倍の大きさの巨大な歯と下あごを持つことから、古人類学者は彼らの身長は2メートルを超え、体重は300キロを上回ると分析している。

 論文の共同作者である広西民族博物館の廖衛(Liao Wei)博士によると、プロテオームは巨猿の歯の化石の中から抽出され、同化石は広西・田東県(Tiandong)の吹風洞で発見されたもの。吹風洞の入り口は地面から約77メートルの高さにあり、洞穴の深さは約19メートル。広西民族博物館の研究チームは2008年にこの洞窟を系統立てて発掘し、九十数個の巨猿の歯の化石を発掘している。

 論文の責任著者でコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のエンリコ・カペリーニ(Enrico Cappellini)教授は、「200万年前のエナメル質の中から抽出したたんぱく質の配列測定により、われわれは自信をもって動物の物種間の進化関係を再構築できる」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News