【11月22日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis、82)は21日、訪問先のタイの首都バンコクの国立競技場で大規模ミサを行い、売春がまん延する同地におけるセックスワーカー(性労働者)や人身売買の被害者を尊重するよう訴えた。

 法王が仏教徒が大多数を占めるタイを訪問するのは今回が初めて。タイシルクでつくられた特注の金色の法衣をまとった法王が競技場であいさつすると、涙をぬぐう信徒の姿も見られた。

 ミサには推定6万人が参加。近隣の競技場ではライブビューイングが行われ、大型モニターで聖歌が流れるミサの模様が中継された。

 法王は、「売春や人身売買の犠牲となり、最も重要な人間としての尊厳を傷つけられている社会的弱者の子どもと女性」を支援することの大切さを強調。

 さらに、薬物常用者や移民、「搾取されている罪人や忘れ去られた貧困者」にも言及し、「彼ら全員が私たち家族の一員だ。彼らは私たちの母であり、兄弟であり、姉妹だ。地域社会は、彼らの顔、傷痕、笑顔、人生から目を背けないように」と呼び掛けた。

 人気観光地のバンコクは、売春と人身売買の横行でも知られている。

 法王はタイ訪問の後、日本に向かう。被爆地の長崎と広島を訪問し、「倫理に反する」核兵器の廃絶を訴えていく。

 映像は21日撮影・提供。(c)AFP