【11月21日 AFP】ドイツ南部ミュンヘン(Munich)で20日、ナチス・ドイツ(Nazi)ゆかりの品が多数競売にかけられ、総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)のシルクハットが5万ユーロ(約600万円)で落札されるなど高値で取引された。この競売をめぐっては国内外から非難が殺到していた。

 競売会社ヘルマン・ヒストリカ(Hermann Historica)のウェブサイトによると、銀めっきの表紙にかぎ十字とワシをあしらったヒトラーの著書「わが闘争(Mein Kampf)」限定版には、13万ユーロ(約1500万円)の値が付いた。この品はかつて、ナチス幹部のヘルマン・ゲーリング(Hermann Goering)が所有していたとされる。

 また、ヒトラーの愛人エバ・ブラウン(Eva Braun)のドレスも数千ユーロで落札された。競売では、ハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler)やルドルフ・ヘス(Rudolf Hess)といった他のナチス幹部の衣服や私物も多数出品された。

 出品物の多くは、第2次世界大戦(World War II)末期に米軍兵士が没収した品だ。エバ・ブラウンのドレスは、1945年5月にオーストリア・ザルツブルク(Salzburg)で米軍が押収したトランク40個の中から見つかった。

 ナチス関連品の競売について、ドイツ政府で反ユダヤ主義対策を担うフェリクス・クライン(Felix Klein)氏は独新聞グループ・フンケ(Funke)の取材に、「ナチスの犯罪が矮小(わいしょう)化されている」と批判。競売関係者は「全く通常の歴史的美術品を取引しているように振る舞っている」が、ナチスの遺物には極右の「崇拝の対象」となる恐れがあると警告した。(c)AFP