【11月21日 AFP】ノルウェーが10年前、ジャングルに覆われた南米ガイアナの森林伐採を食い止めるため経済的支援を行うと決めた時、どれほどの効果があるか誰にも分からなかった。だが、この支援が有効だったとする研究論文が18日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

 途上国が行っている森林保全の取り組みに対し、経済的な支援を国際社会が提供するプロジェクト「途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減」などは、その頭文字を取って「REDDプラス(REDD+)」と呼ばれている。2000年以降、さまざまな種類のREDDプラスが世界的に実施されている。

 ノルウェーは2009年、ガイアナが2010~2015年の間、年間森林伐採率を0.056%に抑えることができた場合、2億5000万ドル(約270億円)を支援するという契約をガイアナと交わした。米ボイシ州立大学(Boise State University)の研究チームが発表した論文によると、ガイアナはこの目標を達成できたという。

 実際のところ、目標値は過去10年の伐採率(0.036%)よりも高く設定されていた。だが、契約期間中の森林消失面積は、契約を結ばなかった場合に比べ35%削減され、その結果、二酸化炭素(CO2)排出量を1280万トン抑えることができたと研究チームは算出している。また、ノルウェーがガイアナと契約を結ばなかった場合、ガイアナの森林破壊の主な要因となっている金採掘が継続され、金の価格が高騰し、森林伐採も進んでいたという。

 ノルウェーがガイアナに対して行った経済的支援は、金取引で得られる利益を上回っていた。これにより政府が金採掘業者を管理するようになり、森林伐採も抑えられたと研究チームは説明している。

 2015年の契約終了後、ガイアナの森林伐採が急速に拡大したことも、ノルウェーのプロジェクトの有効性を示している。一方、契約期間中は、金の採掘業者が隣国スリナムに移動したため、国境付近の森林伐採は拡大した。

 ノルウェーは9月、アフリカ・ガボンと新たな契約を結んだ。今回の契約条件はガイアナの時よりも厳しく設定されており、最近のCO2排出量平均と比較し、排出量を抑えられた分だけ対価が支払われることになっている。価格は1トン当たり10ドル(約1000円)で、達成が確認されてから支払いが行われる。(c)AFP