【11月22日 東方新報】清朝末民国初期の海軍軍人で、中国近代海軍の優れた元老として知られる劉冠雄(Liu Guanxiong)の福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)にある故居が、福建華僑テーマ館として整備されて開館した。福建華僑精神を伝承し掲揚していくのが狙いだ。

 開館セレモニーは、福建省華僑聯盟の陳式海(Chen Shihai)主席が取り仕切り、中国華僑聯盟の万立駿(Wan Lijun)主席や福建省の党委員会常務委員で、党中央統一戦線部の邢善萍(Xing Shanping)部長らも出席して盛大に行われた。

 同館では「領袖と華僑」展示室、「海のシルクロード今昔、試練を克服して前進」「華僑歴史・波乱壮大」回廊、「華僑精神」展示室、「百国百華僑風物展」など五つの固定展示のほか、二つの定期展が開催される。最初の定期展は「初心と使命―福建省華僑聯盟成立60周年」写真展だ。ほかに書店や海外中華飲食文化展示室などがある。

 世界華僑の心の故郷ともいうべき福建省から華僑文化と華僑精神、福建華僑文化のブランド化を発信し、華僑愛国主義教育基地を打ち立てていこうという。

 故居が福建華僑テーマ館として使われた劉冠雄は、日清戦争の大東溝海戦で日本海軍と交戦した清国北洋水師防護巡洋艦「靖遠」で果敢な操船で善戦し、袁世凱(Yuan Shikai)からも称賛を受けた軍人。辛亥(しんがい)革命勃発後は袁世凱の腹心となって海軍総長として、近代海軍整備に尽力したことで知られる。

 彼自身は華僑ではなく、引退後は天津で病没したが、中国海軍の英雄の波乱に満ちた人生、荒海を渡って海外で事業や学問に挑戦し、勝利してきた華僑精神に通じるものがある。

 華僑は明代末の混乱期から清朝、民国期、そして現代にいたるまでの長きに渡って、中国から海を渡って海外に根を張りながらも中国人としてのアイデンティティーを忘れずに故郷に錦を飾ることを願う人たちを指す。厳密にいえば中国籍保持者を指すが、近年は外国籍の華人もこの華僑同胞の範ちゅうに当てはめることが多い。困難の多い海外でコミュニティーをつくり同胞同志が協力し合って発展してきた歴史はと精神は、「一帯一路(Belt and Road)」戦略の基礎にもなり、目下中国では華僑の功績に対する顕彰と学習が推進されている。

 この日の開館セレモニーには劉冠雄の末裔(まつえい)代表や、米国、マレーシア、インドネシアなど20か国・地域の華僑リーダーたちを含めた150人あまりが参加。国境を超えた華僑の絆を確認しあっていた。 (c)東方新報/AFPBB News