■黒魔術信仰も恐怖の元に

 AFPが確認した部外秘の同報告書は、「ソロモン牧師はこの施設を自分の『王国』のように運営している。彼は、聖職者たちと、特別に選んだ子どもたちを通して、施設にいる全員の行動をコントロールしている」と指摘。ユニセフの調査チームは、自分たちが目撃したことと、子どもたちや世話人、NGO職員たちとの面接内容を合わせると、「ソロモン牧師が施設内で性的行為をしている可能性について強く懸念」されると述べている。

 AFPの取材に応じた人々も、十数人の少女たちが牧師の私的な使用人として働き、特別待遇を受けていると証言した。数か月前に施設を出た16歳の少女は、ソロモン牧師に仕えることを拒んだ別の少女が「罰を与えられ、食事を取り上げられていた。ソロモン牧師が人を殴るときは、相手が血まみれになるまで殴り続ける」ことを明らかにした。

 ソロモン牧師について証言するよう人々を説得するには根気がいる。中には、20年間沈黙を続けてきた人々もいる。

 1990年代末にソロモン牧師の教会に所属していた元信者の女性は、「少女たちの大半は貧困家庭の出身だった。彼女たちは彼(ソロモン牧師)と寝る代わりに、学費を払ってもらっていた」と語った。自分が体験したり目撃したりした虐待について当局に訴え出ることは、権力を持った男性たちが裁きを受けることはめったにないこの国では問題外だったという。

 この女性が口を開くのを恐れていたのには、ナイジェリアでは恐怖を抱いている人々も多い「ジュジュ」と呼ばれる伝統的な黒魔術も関係している。「話をするのが怖かった。彼(ソロモン牧師)はジュジュを使うから、おまえは死ぬぞとみんなに言われていた」

 キリスト教信仰が根強いナイジェリア南部では、福音派牧師たちには熱狂的な信者がいる。ソロモン牧師の影響力の非常に大きな部分は、そうした面から生じている。元教会職員は、ソロモン牧師に立ち向かうのは、神そのものに立ち向かうようなものだと話した。