「メルセデス哲学をもった最後のメルセデス」などと形容され1984年にデビューした中型メルセデス124型は、消耗部品をちゃんと交換していけば、新車同然の状態で長く使えると言われていた。それを確かめるべく、2008年、ENGINE編集部は長期テスト車として、92年型の300TEを購入。購入時の走行距離は3万4000㎞、価格は168万円。それから12年後、2019年の走行距離30万キロを突破をきっかけに、過去12年間の雑誌「ENGINE」連載をWEBで公開しています。毎週水曜日12時更新。

タイヤを履き替えました。クルマの魅力が蘇って嬉しい! ちょっと前のメルセデス、44号車。新しいタイヤを履いて若返り! ますます永久自動車です。

機関絶好調!

足回りの主要パーツやエンジン・マウントなどを交換していけば、「ちょっと前のメルセデス・ベンツ」は新車同然の状態で長く使えるのか?を検証するため、08年9月に購入した92年型メルセデス・ベンツ300TE。走行距離3万4000㎞で納車され、1年でオドメーターは6万8000㎞を超えた。現在の状態はそれこそ新車同然、絶好調! これまでに行った大きなメインテナンスはフューエル・ディストリビューターの清掃とエンジン・マウントの交換。バッテリー、スパーク・プラグ、ブレーキ・パッド、ワイパー・ブレードなどの消耗品を交換した上、ボディも磨きにかけたので、購入時より確実に若返っている。

今月はタイヤを替えた。編集部にやってきたときのタイヤは、前オウナーが手放す直前に装着したと思われるピカピカのブリヂストン・プレイズ。3万4000㎞ももったのは、タイヤの耐摩耗性能の高さに加え、高速道路を一定速度で走ることが多かったからだと思う。担当者もこれまで急な加減速をせずに44号車を丁寧に扱ってきた。乗り方が丁寧になるのは、16年前の中古車だからというよりは、300TEの魅力が重厚感のあるドライブ・フィールにあるからだ。走りだすと気分が落ち着き、せわしなく走ろうとは思わなくなるのである。

条件は3つ

しなやかに動くサスペンションによる乗り心地の良さも300TEの魅力だ。前オウナーが履かせたタイヤは耐摩耗性に優れる分、ややゴツゴツ感があった。ニュー・タイヤは300TEの快適性を際立たせるものにしたい。一方、高速道路を使うことが多いのでスタビリティが高く、オーディオのバージョン・アップ作戦を計画しているので、静粛性に優れているといい。300TEのタイヤ・サイズは195/65R15。条件にピッタリ合うタイヤはトーヨー・プロクセスC1Sだった。

プロクセスC1Sはトーヨー・タイヤが欧州のプレミアム・セダンをターゲットに開発した新商品で、乗り心地、静粛性と高速スタビリティの両立を目指したタイヤである。市場価格(195/65R15サイズで1万1000円前後)が、ライバルより安いのも魅力だ。

トーヨー・タイヤにはこれまでプレミアム・セダン向けタイヤとして名声を博したブランドではないけれど、それゆえC1Sに賭ける意気込みは強いようだ。同社のホームページには先代のメルセデス・ベンツEクラスを使った徹底テストの動画がアップされている。

TOYO PROXES C1S/静粛性と乗り心地性能を"柔"、高速スタビリティ性能を"動"とし、柔と動の両立を目指し開 発された。パターンは左右非対称で"柔"を内側、"動"を外側が担当する。ロードノイズのほか、空気の流れによって生じる共鳴音も低減している。転がり抵抗の小さいエコ・タイヤ でもある。

さて、ニュー・タイヤを装着して2週間。タイヤが新しくなったので、乗り心地はさらに良くなった。特に荒れた路面でのゴツゴツ感が小さくなっている。当たり前だが嬉しい。もちろん、グンと静かにもなった。

高速道路における直進安定性も申し分ないし、首都高速のカーブで剛性が足りない感じもない。新しいタイヤを履いてさらに一段と若返った300TE。本来の魅力が蘇ったようで、本当に嬉しい。

来月はオーディオの改造を予定している。静かになった44号車でお気に入りの音楽を早く聴きたい。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也

44号車/メルセデス・ベンツ300TE
MERCEDES-BENZ300TE
購入価格:168万円
導入時期:2008年9月
走行距離 3万4570km+3万5630㎞

(ENGINE2009年12月号)