【11月18日 AFP】同性愛を中傷する発言でラグビーオーストラリア代表から追放されたイズラエル・フォラウ(Israel Folau)が、今度は国内で被害が広がっている森林火災と干ばつについて、同性婚や中絶を法律で認めたことへの「神の裁き」だと発言し、またしても大きな批判を浴びている。

 フォラウはスーパーラグビー(Super Rugby)の歴代最多トライ記録保持者で、ワラビーズ(Wallabies、オーストラリア代表の愛称)でも73キャップを持つ主力選手だったが、信心深いクリスチャンでもあり、同性愛や「罪」を犯した人間には「地獄が待っている」というコメントをSNSに投稿して同国ラグビー協会(Rugby Australia)との契約を打ち切られた。協会とは現在も係争中の状態にある。

 そのフォラウから、今度はシドニーの教会で行われた説教の場でとんでもない発言が飛び出した。フォラウはニューサウスウェールズ(New South Wales)州とクイーンズランド(Queensland)州で、死者6人や数百軒の家屋焼失といった壊滅的な被害を出している森林火災、そして今年の干ばつについて、このタイミングで起こったのは偶然ではないと主張している。

「このところオーストラリアで起こっていることを見ている。この数週間の出来事や、自然災害、森林火災や干ばつといったことを」「神のお言葉によれば、結婚というのは一人の男と一人の女が一緒になることであり、結婚という誓約を結べるのは男と女だ」「そして中絶。今では生まれていない子ども、胎児を殺しても構わないということになった」

「火災や干ばつがあっという間に広がったのを見てほしい。この短期間にこれだけのことが起こっている。これが偶然だと思いますか?」「神はこうおっしゃっている。オーストラリアの民よ、悔い改めてこうした法律を取り下げ、神の定めた正しい法に戻しなさいとね」

 そしてフォラウは教会のフェイスブック(Facebook)ページに投稿した説教の中で、メッセージを発したのは「愛から出た」行動で、火災は「来たる神の裁きのほんの手始めにすぎない」と警告した。

 オーストラリアでは2017年に国民投票をへて同性婚が合法化され、中絶についても今年9月、最後に残っていたニューサウスウェールズ州で認められ、全国で合法となった。

 フォラウの発言は過去に保守派の著名人から支持を得てきたが、今回の発言に対しては、福音派の熱心なキリスト教徒であるスコット・モリソン(Scott Morrison)首相も「恐ろしいほど配慮に欠ける」とすぐさま批判している。

「ぞっとするような言葉だった。確かに彼は自由市民で、言論の自由があるが、だからといって火災で家を焼かれた方々が受けるであろう大きな侮辱を考えられないわけではない」 (c)AFP