【11月19日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)邛崃市(Qionglai)で16日、臨邛冶鉄の実験考古学イベントが開かれ、中国と日本の考古学者が漢代の製鉄技術を復元した。

 漢代の臨邛地区は、現在の成都市(Chengdu)邛崃、蒲江(Pujiang)一帯に当たる。当時は国内鉄器生産の中心地の一つで、漢代の文人、司馬相如(Sima Xiangru)の妻で臨邛の才女と呼ばれた卓文君(Zhuo Wenjun)の家族が、同時代で世界最大規模といわれる私営鉄工場を運営していた。

 今回のイベントは、四川大学(Sichuan University)歴史文化学院と成都文物考古研究院、四川省文物考古研究院、愛媛大学(Ehime University)アジア古代産業考古学研究センター、邛崃市人民政府が共同で主催した。考古学関係者らは、発掘調査で見つかった漢代の溶鉱炉と文献記録を参考に原寸を縮小した直立炉を建設。生鉄の製造に成功し、漢代の製鉄技術の研究に重要な資料と成功例を提供した。

 愛媛大学アジア古代産業考古学研究センターの村上恭通教授によると、中国古代の製鉄技術は東南アジアに非常に大きな影響を与えたが、中でも臨邛の卓氏の技術は重要な役割を果たした。中国と日本、韓国3カ国の古代製鉄技術はいずれも卓氏の技術と関わりがあり、中国の古代製鉄技術を研究することは日本の製鉄技術の起源を研究することでもあるという。

 市内では15日、「中国西南地区と東南アジアの冶金技術の起源・伝播及び臨邛製鉄の実験考古学」国際学術シンポジウムも開催され、デンマークや英国、日本、中国など複数の国の専門家・学者50人余りが参加した。(c)Xinhua News/AFPBB News