【11月17日 AFP】男子テニス、ATPワールドツアー・ファイナルズ(ATP World Tour Finals 2019)で準決勝敗退となったロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が、良いことも悪いこともあったシーズンを振り返りながら、来シーズンに目を向けた。

 フェデラーはノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に勝利してATPファイナルズの4強入りを果たし、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)決勝の雪辱を果たしたが、迎えた16日の準決勝でステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)に敗れ、最高の形で2019年を締めくくることはできなかった。

 今年はフェデラーにとって、ツアー通算100勝超えを達成した満足感とともに思い返せる一方、ウィンブルドンで優勝を逃した印象も強いシーズンになった。

 今季のフェデラーは、マイアミ・オープン(Miami Open 2019)制覇や通算10回目のノベンティ・オープン(NOVENTI OPEN 2019)とスイス・インドア(Swiss Indoors Basel 2019)優勝などで4勝を挙げ、輝かしいキャリアで飾ったツアー勝利数を103勝に伸ばし、ジミー・コナーズ(Jimmy Connors)氏の歴代最多記録にあと6勝と迫っている。

 ところがグラス(芝)コートのノベンティ・オープンを優勝し、勢いをつけて9回目の大会制覇に挑んだウィンブルドンでは、ジョコビッチとの決勝で、自身のサービスゲームで2本のチャンピオンシップポイントを握りながら痛恨の逆転負けを喫した。

 今大会でも、ジョコビッチとラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)がすでに敗退し、最多記録を更新する7回目の最終戦優勝に向けた絶好の舞台が整ったかに思われたが、チチパスに敗戦。O2アリーナ(O2 Arena)に詰めかけた満員の観客から大声援の後押しを受けながら、12回あったブレークの好機を1回しかものにすることができなかった。

 この後は南米で何試合かエキシビションマッチをこなす予定だが、フェデラーの視線はすでに次の2020年シーズンに向いている。

 チチパス戦を終えたフェデラーは「今年のレベルをキープしなければならない。それができれば何回かチャンスはつくれるはずだ」「かなり安定した堅実なテニスができたと思う。体のケアをし、体が発する声に耳を傾け、チームとよく連携を取りながら、人生のいろいろなことのバランスを取っていきたい」と話した。

 フェデラーは10月、来夏の東京五輪に出場すると話しており、引退のタイミングに関する疑問はしばらく先送りとなった。フェデラーは2012年のロンドン五輪で決勝に進出したが、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)に敗れて優勝はできず、五輪シングルスの金メダルはトロフィーケースに唯一足りてない主要タイトルとなっている。

 また四大大会(グランドスラム)の勝利数でも、世界ランキング1位のナダルが自身の最多20勝まであと一つに迫る19勝、ジョコビッチが16勝と勝利数を積み上げ、両者の気配が近づいてくるのを感じざるを得ない状況になっている。

 2人の先を行き続けるには、フェデラーもグランドスラムのタイトル数を増やす必要があり、その可能性が一番高いのはウィンブルドンだろう。しかしフェデラー自身、10年前と比べても、最高のテニスをするのは日に日に難しくなっており、以前よりも大きな労力が必要になることもあると話している。

「それが今の感触なのかもしれない。単純にいろいろなことが難しくなっている。もしかしたら、こういう勝負どころの瞬間をつかむ力をもっと磨かないといけないのかもしれない」「きょうもチャンスはあったし、今季全体を見ても、BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2019)やウィンブルドンでもチャンスはあった。それをつかめるか次第で、シーズンそのものや自信、物事の流れがまったく変わってしまう可能性がある」

「とはいえ、今季の自分のプレーには満足している。来シーズンのことは本当に楽しみにしているよ」 (c)AFP/John WEAVER