【11月17日 AFP】チェコの首都プラハの中心部で16日、汚職疑惑が持たれているアンドレイ・バビシュ(Andrej Babis)首相(65)の辞任を求めて約25万人が参加する大規模なデモが行われた。このデモは、1989年の「ビロード革命(Velvet Revolution)」で当時のチェコスロバキアの共産党一党独裁体制が崩壊してから30年となる17日に合わせて実施された。

 公営チェコ通信(CTK)はヤン・ハマーチェク(Jan Hamacek)第1副首相兼内相の発言として、ビロード革命の大規模な抗議行動の舞台となったレトナ公園(Letna Park)で、今年6月に行われた同様の抗議行動と同規模のデモが行われたと伝えた。

 1989年のビロード革命では、前例のない抗議活動とゼネストによって旧ソ連が40年にわたり旧チェコスロバキアに押し付けていた全体主義に終止符が打たれた。

 1989年11月17日、学生のデモ行進に警察が実力行使。その後反体制組織が結成され、同年12月に共産政権が崩壊して反体制派代表のバツラフ・ハベル(Vaclav Havel)がチェコスロバキアの大統領に就任。93年に同国は平和的にチェコとスロバキアに分かれた。

 農業、メディア、化学分野の持ち株会社アグロフェルト(Agrofert)を経営するバビシュ首相は、欧州委員会(European Commission)の監査で利益相反だと指摘された。

 スロバキア出身のバビシュ氏は、米経済誌フォーブス(Forbes)によるとチェコで第5位の富豪。同氏は昨年、欧州連合(EU)の補助金200万ユーロ(約2億4000万円)の不正受給に関与した疑いが持たれたが、プラハ検察は今年9月、不起訴処分とした。

 バビシュ氏は、不正行為はしていないと一切の疑惑を否定。また1980年代の秘密警察の名簿に同氏が工作員と記載されていたことも浮上したが、バビシュ氏は強く否定している。

 バビシュ氏が率いる政党「ANO2011」はこうした疑惑をものともせず、世論調査では依然として30%前後の支持率を得てトップの座にある。(c)AFP/Jan FLEMR