【11月16日 AFP】スリランカで16日、大統領選の投票が始まった。この選挙で復権する可能性のあるラジャパクサ(Rajapakse)一族をめぐっては、タミル人過激派組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」を壊滅させたと称賛する声がある一方、戦争犯罪と汚職、親中路線に対する批判の声も上がっている。

 ラジャパクサ一族からは、5年前の大統領選で敗れたマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapakse)前大統領の弟のゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)元国防次官(70)が出馬。4月に269人が死亡する連続爆発事件が発生したことを受けて、国家の発展だけでなく治安対策も公約に掲げている。

 ゴタバヤ氏の最大のライバルは、ラナシンハ・プレマダサ(Ranasinghe Premadasa)元大統領の息子で、与党・統一国民党(UNP)のサジット・プレマダサ(Sajith Premadasa)氏(52)。同じく、治安対策と国家の発展を公約に掲げているほか、貧しい女性たちに生理用ナプキンを無償配布するとも主張している。

 選挙管理委員会によると、大統領選を円滑に行うために、警察官約8万5000人が配備された。

 厳戒態勢が敷かれたにもかかわらず、北西部では少数派であるイスラム教徒の有権者らを乗せたバス100台の車列を狙った襲撃事件が発生。襲撃者らは、車列に投石し、路上でタイヤを燃やして道路を封鎖するなどしたが、後に警察がタイヤを撤去した。現時点では、この襲撃で死傷者が出たとの報告はない。

 接戦模様だが、少数派のタミル人とイスラム教徒が勝敗の鍵を握っているとみられている。

 有権者数は1600万人足らずで、仏教の僧侶2人を含む35人という記録的な数の候補者が出馬しているが、女性は1人のみ。結果は早ければ17日正午(日本時間同日午後3時30分)にも判明する見通しだ。(c)AFP/Amal Jayasinghe and Simon Sturdee