【11月16日 AFP】反政府デモで混乱が続くチリの議会は15日、独裁政権下で制定された憲法の改正をめぐる国民投票を来年4月に行うことを決めた。憲法改正はデモ隊の主な要求の一つ。

 与野党は長時間の激しい交渉の末、15日早朝に国民投票の実施で合意した。ハイメ・キンタナ(Jaime Quintana)上院議長によれば、投票では憲法改正の是非のほか、改正が支持された場合、新憲法をどのように起草するかが問われる。

 現行憲法はアウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)大統領が率いた軍事政権下で1980年に制定されたもの。これまで繰り返し修正が行われてきたが、教育と医療の提供が国家の義務として規定されていない。一方、街頭デモに参加している数百万人の国民は、国に教育と医療の保障を求めている。

 チリでは先月18日、ラッシュ時間帯の地下鉄料金値上げに反発するデモが発生。これが現状に対する広範な抗議行動へと拡大し、放火や略奪のほか、デモ隊と警官隊による連日の衝突が起こっている。

 事態は1990年に民主制に戻って以降最大の危機に発展し、これまでに20人が死亡した。このうち5人は治安部隊による直接の死者。また、負傷者は1000人を超えている。

 チリ政府は昨年のセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領の就任直後、社会党のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)前大統領が議会提出していた改憲のための法案について、検討を許可しないと表明した。(c)AFP/Jordane BERTRAND