【11月19日 CNS】中国・北京市で開催された「中国国際ファッションウィーク(China Fashion Week)」で、モンゴル族の民族衣装をもとにしたファッションが初めて登場した。

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 モンゴル族のファッションブランド創設者で内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)女性連盟の娜仁花(Na Renhua)副主席は11日、「中国の無形文化遺産であるモンゴル族の衣装を生かし、優秀なデザイナー、経営者、メーカーを結びつけ、民族文化を世界の舞台に広げたい」と語った。

 モンゴル族の衣装は、中国北部の遊牧民族のなかでも代表的なもので、元王朝の時代に豪華で華麗な衣装に発展した。さらに時代を経て、各部族の衣装は異なる特徴を持つようになり、種類も多様になった。2008年には国家無形文化遺産リストに登録された。

 今回のファッションウィークには、モンゴル族衣装の文化伝承者に認定されている5人が参加。伝統の民族衣装に身を包み、国際的ステージに上がったアルシャー盟(Alxa League)地区の玉荣(Yu Rong)さんは、「これでモンゴル族の衣装と世界の『対話』が果たせました」と話した。

 53歳の玉荣さんは、小さいころから祖母に民族衣装をつくることを習っていた。この文化遺産には「匠の心」が秘められているといい、「それは祖先の伝統技術を継承しながら、実践を通じて学び、探求していく心です」と説明する。

 モンゴル族の伝統的衣装を18年間研究し、多くの部族を訪れ、黙々と伝統文化を伝えている多くの老人に出会った娜副主席は「一つ一つの衣装の細部や職人の技に、民族の文化が織り込まれている。1000年にわたり祖先から受け継いできた民族文化を、ただ博物館に保管するだけではいけないのです」と話す。「貴重な無形文化遺産を新しい表現方法で現代の生活に合わせることこそ、伝統文化を継承、発展させ、世界に広げることにつながります」(c)CNS/JCM/AFPBB News