【12月29日 AFP】米国の伝説的歌手、故フランク・シナトラ(Frank Sinatra)が歌って世界中で大ヒットした「マイ・ウェイ(My Way)」がリリースされてから50年。だが、この曲にはフランス語の原曲があり、作曲したのがフランス人のソングライター、ジャック・ルボー(Jacques Revaux)氏(79)であることはあまり知られていない。

 ルボー氏は、これまでの人生で後悔していることが二つあると話す。そのうちの一つは、「シナトラと一緒に撮った写真が一枚もないこと」だと笑う。ルボー氏にとって、シナトラは「近づき難い大スター」で、仏パリで行われたシナトラの勲章授与式に出席したものの、並んで写真を撮ることさえできなかったという。

 この曲を世界的に大ヒットさせたのはシナトラかもしれないが、フランス語の原曲が基になっていることを知っている人はそれほど多くなく、原曲を書いたのがルボー氏であることを知っている人は、本国フランスでももっと少ない。フランスでは、作曲者として記されることが多いのは仏歌手の故クロード・フランソワ(Claude Francois)の名だ。

 多くの楽曲を手掛けてきたルボー氏がこの曲を作ったのは、当時27歳だった1967年。原曲は、愛情がさめたカップルについての内容で「For Me」という英語のタイトルが付いていた。

 ルボー氏はその曲をまず「フランスのボブ・ディラン(Bob Dylan)」と呼ばれていたユーグ・オーフレ(Hugues Aufray)のところへ持って行った。だが、オーフレは「素晴らしいじゃないか。だが、私向きの曲じゃない」と言ったという。

 さらに、英国の歌手ペトゥラ・クラーク(Petula Clark)とエジプト生まれの歌姫ダリダ(Dalida)からも断られ、その年の夏に訪れた南仏のリゾート地カンヌ(Cannes)でフランスの大スターだったフランソワに出会った。

 フランソワは、ルボー氏と食事をした際にこう言ったという。「他の人たちにいろいろな曲を提供しているけれど、私にもお願いできるかな?」。だが、曲は結局、フランソワのマネジャーによって却下された。