【11月15日 AFP】サッカー中国代表を率いていたマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督が、W杯カタール大会(2022 World Cup)アジア2次予選でチームが1-2でシリアに敗れて辞任したことを受け、同国サッカー協会(CFA)は今年に入って3人目の指揮官を探す状況に置かれている。

 2006年W杯ドイツ大会(2006 World Cup)で母国イタリアを優勝に導いた実績を持つ71歳のリッピ監督は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行われた14日のシリア戦で敗れた後の記者会見で、短時間ながら怒りをあらわにした様子を見せた。

 新華社(Xinhua)通信によると、リッピ監督は「私の給料はとても高額。私はそのすべての責任を負う。中国代表の監督を辞任する」「モルティブやグアムなど弱い相手には勝てるが、フィリピンやシリアのような強いチームと対戦すると、自分たちのサッカーができなくなっていた」と述べた後、突然会見を切り上げたという。

 その数時間後には、CFAがコメント文でリッピ監督の辞任を受け入れたことを明らかにし、「不本意な結果で中国ファンの皆さんを失望させてしまい、本当に申し訳ありません」「今回のW杯予選を受けて、CFAはこの状況に深刻に取り組み、チームを立て直し、全力を尽くしていく所存です」と述べた。

 この勝利でシリアは2022年大会の出場権獲得に向けて、グループAの首位に立っている。中国は勝ち点5差で同2位につけているが、3位のフィリピンを得失点差で上回っているのみで、W杯への望みが危ういものになっている。

 中国サッカーのこの一年は騒々しいものになっており、リッピ監督の辞任はこの国をサッカーの超大国に押し上げたい政府の望みをくじくものとなっている。

 イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)でも指揮を執った実績があり、中国の代表監督として年俸1億8000万元(約28億円)と伝えられているリッピ監督は、最高給を手にしている指導者の一人となっている。

 リッピ監督は、今年1月に行われた第17回アジアカップ(2019 AFC Asian Cup)の準々決勝で敗退し指揮官を退任。ファビオ・カンナヴァーロ(Fabio Cannavaro)氏がその後任に就いたが、中国スーパーリーグ(1部)の広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)との兼任指揮官としてバランスをとることが難しいと語り、わずか2試合を指揮して職を辞した。

 5月にはリッピ監督が復帰したものの、2期目はわずか半年で終わりを迎えた。

 中国は現在国際サッカー連盟(FIFA)の世界ランキングで69位。これまで唯一出場したW杯日韓大会(2002 World Cup)では勝ち点を挙げられず、得点を奪うこともできなかった。(c)AFP