【11月15日 AFP】世界ロードレース選手権(WGP)のMotoGPクラスで通算3度の総合優勝を誇るレプソル・ホンダ(Repsol Honda)のホルヘ・ロレンソ(Jorge Lorenzo、スペイン)が14日、今週末に行われるシーズン最終戦バレンシアGPを最後に現役を引退すると表明した。

 2010年、12年、15年シーズンに世界タイトルを獲得した32歳のロレンソは、この日開かれた記者会見で、17日の決勝レース後に現役生活を終える意向を示した。来季もホンダとの契約が残っていたものの、今季は成績不振に陥っていた上に、事故で脊椎を損傷する深刻なけがに見舞われていた。

 250ccクラスでも通算2度の年間優勝を果たしているロレンソは、「これがMotoGPでの最後のレースになる。これを終えたら、プロのレースから引退する」「ライダー人生には重要な4日間があるといつも考えていた。それは初めてレースに臨んだ日、初勝利を飾った日、それから世界選手権を初制覇した日。誰もが世界選手権に勝てるわけじゃないけれど、何人かはそれを成し遂げた」と語った。

「あとは引退する日だ。皆さんのご想像通り、自分はその日がやってきたことをここで表明する」

 ロレンソはまた、ホンダに移籍した今季序盤から度重なるけがに見舞われたことよって、キャリアを通じて初めて引退を考えたと告白し、「一連のけがが今季の結果とパフォーマンスに大きな影響を及ぼした。速さを追求する上で通常の肉体が維持できなくなった」と明かした。

 今季第8戦オランダGPを控えた6月28日のフリー走行で、ロレンソは激しく横転してバイクの後ろでグラベルに何度か打ち付けられ、脊椎の2か所を損傷。グラベルで自力で立ち上がろうとしていたときに、レースをやめることが頭をよぎり、「オーケー、ホルヘ。これまで成し遂げてきたことを踏まえて、これ以上本当にやる価値があるのか」「もうやり終えた。これ以上レースは望まない」と考えたという。

 その後、思い直してサーキットに復帰したロレンソは、「正直なところ、あの瞬間から山があまりにも大きく、そして高くなりすぎて、もっとのぼり続けるためのモチベーションを見つけることができなくなった」と語った。

 MotoGPで通算7度の世界制覇を成し遂げたモンスターエナジー・ヤマハ(Monster Energy Yamaha)のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)は、元チームメートのロレンソに対して、「ホルヘは現代のMotoGPで最も偉大なライダーの一人だ」と称賛すると、「われわれは、このスポーツにとって非常に重要な一部と偉大な王者を失うことになる」と引退を惜しんだ。

 ロレンソは今季開幕前にホンダと2年契約を交わしたが、今季は第5戦フランスGPの11位が最高成績で、ドライバーズ選手権でも19位に沈んでいる。(c)AFP