【11月15日 AFP】米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)は14日、米国防総省が100億ドル(約1兆円)規模のクラウドプロジェクトで米IT大手マイクロソフト(Microsoft)と契約を結んだことについて、選定プロセスに「明白な偏見」があったと抗議した。

 このプロジェクトは国防総省の防衛基盤統合事業(Joint Enterprise Defense Infrastructure)で、頭文字を取って「JEDI」(ジェダイ)と呼ばれている。契約期間は10年。人工知能(AI)技術でリアルタイムに解析された情報を一つのクラウド上に統合し、陸海空軍など米国の全軍種で共有することが可能となる。

 アマゾンウェブサービス(AWS)の広報は、「わが国にとって重要なのは、政府とその選ばれた指導者らが、政治的影響力を受けずに客観的に調達を実施することだ」「JEDIの評価プロセスは、多くの面で明らかな不備や誤り、偏見があった」と述べた。アマゾンは先週、選定プロセスに抗議する旨の文書を米裁判所に提出したという。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、アマゾンとその創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏を繰り返し非難してきた。ベゾスが所有する米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、トランプ氏とその政権に対しついて最も批判的な報道を行ってきたメディアの一つ。

 トランプ氏は今年7月、アマゾンの競合企業から不満が出ているとして、JEDIの入札プロセスについて調査するよう側近に命じたと明らかにしていた。

 JEDIの契約者選定では、クラウドコンピューティング分野で支配的な地位を築き、すでに中央情報局(CIA)をはじめとする米政府機関に秘密情報を扱うサーバーを提供していたアマゾンが有利とみられていた。

 しかし国防総省は、トランプ氏が指名したマーク・エスパー(Mark Esper)国防長官が契約プロセスを見直す必要があるとして、契約者選定を先送り。アマゾンとマイクロソフトの2社が最終候補に残ったが、国防総省は10月、クラウドプロジェクトの契約者として、マイクロソフトを選定したと発表した。

 エスパー氏の前任者であるジェームズ・マティス(James Mattis)前国防長官のスピーチライター、ガイ・スノッドグラス(Guy Snodgrass)氏は新著の中で、トランプ氏がマティス氏に対し「アマゾンをJEDIの契約から締め出す」よう述べたと主張している。(c)AFP