■「格差生んだ自由主義」に「殺される」

 自殺を図った学生は政治学を専攻していたが、2年次で2回留年し、奨学金を打ち切られた。地元紙ル・プログレ(Le Progres)が紹介した学生のフェイスブック投稿によれば、生活は1か月当たり450ユーロ(約5万4000円)の奨学金を受け取っていたときでさえ苦しかったという。

 学生はこの投稿の中で、「格差を生み出した自由主義」を非難。マクロン氏とフランソワ・オランド(Francois Hollande)前大統領、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領、欧州連合(EU)によって「僕は殺される」と訴えていた。

 2016年の政府統計によると、フランスでは大学生の約3分の1が1年次で留年しており、入学後3年以内に3年生に進級できるのは28.4%のみ。学生の多くが自活のために働いており、これが試験での落第率の高さの一因といわれている。

 リヨンの抗議デモに参加していた社会学専攻の女子学生は、しばらく入院した後に受けた試験で及第点を取れず、奨学金を打ち切られたとAFPに話した。そのため複数のアルバイトを掛け持ちせざるを得なくなり、ごみ箱の残飯をあさる日すらあるという。

 マクロン大統領は昨年、課題となっている財政赤字削減の一環として学生向け住宅助成金を最高で月額5ユーロ(約600円)に減額した。ただ、一方で富裕層には減税となる政策を導入したことから、激しい非難を浴びている。

 来月5日にはマクロン政権の年金改革に反対する大規模ストライキが呼び掛けられており、仏政府は、学生たちが長引く「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動に合流してストを勢いづかせるのではないかと警戒している。(c)AFP/Alexandre GROSBOIS with Clare BYRNE in Paris