【11月14日 AFP】科学者らは長年、足の指を失っているハトが都会に多いのは、何らかの感染症か化学汚染物質が原因だと考えていた。だが、フランスの研究によりこのほど、人間の毛髪が原因である可能性が高いことが分かった。

 仏国立自然史博物館(National Museum of Natural History)と仏リヨン大学(University of Lyon)の研究チームはパリ全域の46か所で、ハトの足指切断件数と切断の程度を調べた。その結果、ほぼすべてで人間による汚染が関係している可能性が高いことが明らかになった。

 研究によると、大気汚染と騒音公害の発生率が高い地域に生息するハトは、緑の多い環境に生息するハトに比べて足の指が少ない傾向がみられた。また、研究チームは、美容院が密集している地域のハトほど、足指が少ない事例が増える傾向にあることも発見した。これは、ハトの足の指に人間の毛髪が絡みついたため、切断されたケースが多いことを意味している。

 ハトは都市住民には害鳥と見なされることが多いが、ハトにとっても緑の多い環境で暮らした方がいい可能性があると研究チームは示唆している。

 研究チームは研究目的について「都心に生息する野生生物の保護に必要となる潜在的な適応力や(被害の)緩和策を特定するには、都市公害の生物多様性への影響を評価することが重要になる」と論文で説明している。

 論文は学術誌「バイオロジカル・コンサベーション(Biological Conservation)」に掲載された。(c)AFP