【11月15日 AFP】ロシアの革命家レオン・トロツキー(Leon Trotsky)や、スペイン出身の映画監督ルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)、チリのサルバドール・アジェンデ(Salvador Allende)元大統領の夫人、オルテンシア・ブッシ(Hortensia Bussi)──メキシコには何万人もの政治亡命者を受け入れてきた長い伝統がある。12日には、ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)前大統領がメキシコ入りし、その系譜に加わった。

 以下に、メキシコが受け入れてきた著名な亡命者をまとめた。

■サンディーノ、そしてトロツキー

 メキシコの元外交官、アウグスティン・グティエレス・カネット(Agustin Gutierrez Canet)氏によると、メキシコが初めて受け入れた政治亡命者は、1920年代のニカラグアで駐留米軍への武装蜂起を指揮した革命家、アウグスト・セサル・サンディーノ(Cesar Augusto Sandino)だった。

 しかし、サンディーノはメキシコ政府に革命を支持するという約束を破られたと主張。いら立ちを募らせた末、1930年に同国を去った。

 その7年後、サンディーノよりはるかに有名な亡命者がメキシコに到着する。トロツキーだ。

 マルクス主義革命を提唱したトロツキーは、1929年にヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)によってソビエト連邦を追放され、トルコ、フランス、ノルウェーを経て、1937年にメキシコにたどり着いた。

「ラサロ・カルデナス(Lazaro Cardenas)大統領に(トロツキーを)保護するよう求めたのは、壁画家のディエゴ・リベラ(Diego Rivera)だった。だが、その結果はご存じの通りだ。メキシコによる保護に欠陥があり、ラモン・メルカデル(Ramon Mercader)が現れた」(グティエレス氏)

 スペインの共産主義者にしてソ連情報機関の秘密工作員だったメルカデルは、トロツキーの交友関係に入り込んだ後の1940年、本人の自宅でトロツキーを暗殺した。殺害に使われた凶器は登山用具のピッケルだった。