【11月13日 AFP】米大リーグ(MLB)のヒューストン・アストロズ(Houston Astros)について、ワールドシリーズを制した2017年シーズンにサイン盗みを行っていた疑惑が浮上している。リーグによる調査も始まり、球団も協力していることを認めた。

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 事の発端は、米ウェブサイトのジ・アスレチック(The Athletic)が12日、元アストロズ投手のマイク・ファイアーズ(Mike Fiers)の話として、チームが2017年のポストシーズンのホームゲームで、対戦相手のサインを盗んでいたと暴露したことだった。

 それによれば、アストロズは外野席に置いたカメラを使ってサインを読み取るというルール違反を犯していた。サイン盗みは主に、相手捕手から投手へのサインを読み取り、次の球種を知って優位に立つ目的で行われる。カメラなどの電子機器の使用は禁止されており、フィールド上の選手によるサイン盗みへの罰則はないが、マナー違反とされている。

 ファイアーズがジ・アスレチックに語った内容によれば、アストロズは外野で撮った動画をベンチ近くのモニターで中継し、サインを解読していた。告発に踏み切った理由としては、そのせいで投手がマイナー送りにされる状況に良心がとがめたからだと話している。

「とにかく野球をもう少しクリーンにしたい。何も知らずに出場して、仕事をなくす選手がいるんだ」「若い選手はちょっと打たれただけで下へ落とされる。若手の仕事をつぶしているんだ。知っている選手は対策をしているが、ほとんどの選手はそうじゃない」

 ジ・アスレチックは、ほかに3人のアストロズの関係者からも、サイン盗みが行われていたという証言を引き出している。それによれば、球団職員がモニターで相手捕手のサインを確認し、ごみ箱を激しくたたいて球種を知らせていた。

 ファイアーズは「野球の正しい在り方じゃない」「それでも勝ち進む中で、なんとしてでも勝ちたいという感じになっていった」と話している。

 2017年のア・リーグ優勝決定シリーズで、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)と対戦したアストロズは、ホームで4戦全勝を飾ってシリーズを4勝3敗で制し、リーグ優勝を達成。迎えたワールドシリーズでもホームゲーム3試合中2試合に勝利し、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)を4勝3敗で抑えて世界王者となった。

 アストロズは、「本日ジ・アスレチックに掲載された記事に関して、球団はMLBと協力して調査を開始しました」「現時点でこれ以上のコメントは適切ではないため、差し控えさせていただきます」と話している。(c)AFP