■犬肉処理場

 犬が処理場に運ばれてくると、上半身裸の男性従業員たちは犬を逆さまにつるしたり、ロープで絞め殺したり、頭をこん棒で殴ったり、悪臭を放つ水でいっぱいになった穴の中で水死させたりする。

 ある従業員(59)は犬を木の枝につるして窒息死させると、沸騰する湯の中に入れて毛と皮を取り除き、部位ごとに切り分けた。「多い日には、10~12匹を殺す」「気の毒にも感じている」と元兵士の男性は語った。

 カンボジアでは衣料品工場の月給が200ドル(約2万2000円)未満なのに対し、犬肉の供給業者は750~1000ドル(約8万2000~10万円)を稼ぐことができる。

 生産性は極めて重要だ。犬肉業者の一人は「殴った方が早い」と話しつつ、「罪なことだとは分かっている」と言い添えた。だが、犬の鳴き声を聞かずに済むことから、地方部で好まれているのは水死させる方法だ。

■業者たちの転職

 安い犬肉は網焼きや1.25ドル(約140円)ほどのスープになって飲食店で提供されており、日雇い労働者に人気がある。それでも犬肉を食用として届ける精神的トラウマは計り知れず、犬肉産業で働く人々はましな職が見つかれば転職する。

 タケオ(Takeo)市で飲食店を経営するキュー・チェンさんも、閉店を条件にフォー・ポーズから農地を支給されることになった。

 病気にかかっていた犬たちはプノンペンで治療を受けることになった。チェンさんは移送前にケージの前にひざまずき、「君たちは今、自由だ。死なずに済んだんだ」と言って、別れを告げた。

  映像は10月25~27日、11月4日撮影。(c)AFP/Joe FREEMAN and Suy SE