【11月12日 AFP】シンガポールの空港で、300個近いスーツケースの荷札を他の物とすり替え、世界中の誤った目的地に輸送される事態を招いた職員が、禁錮20日の刑を受け収監された。

 シンガポール人のテイ・ボンケー(Tay Boon Keh)受刑者(66)は、世界で最も利用者数の多い空港の一つであるチャンギ空港(Changi Airport)で、286個の荷物の札をすり替えたことを認めていた。

 裁判で明らかになったところによると、札のすり替えがあったのは2016年11月から2017年2月の間。自身の部署の増員を要請したものの無視され、「いら立ちと怒り」が犯行の動機だったという。

 裁判所の記録からは、被害に遭ったスーツケースの本来の行き先は、豪パース(Perth)、比マニラ、独フランクフルト、英ロンドン、米サンフランシスコなど世界各地の空港だったことが分かる。

 影響を受けたのは、シンガポール航空(Singapore Airlines)と同子会社の地域航空会社シルクエアー(SilkAir)を利用し、チャンギ空港で乗り継ぎをした乗客の荷物だった。

 裁判で被告側は、犯行当時大うつ病性障害を患っていたと主張。しかし検察側は、公判で提出された証拠から、被告は一貫して自身の行動をコントロールできており、病状がそこまで大きく犯行に影響した様子はないという見方を示した。

 検察官は、この犯行のせいで服用薬を失った乗客がいたとすれば「深刻で命に関わりかねない影響」を及ぼしていた恐れがあると指摘している。(c)AFP