2019.11.16

WATCHES

モダンな、不滅の名作揃い 。1970年代以降の作品に焦点を当てた『カルティエ、時の結晶』

12月16日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館でカルティエ収蔵の歴史的な作品と、通常は公開されることのない個人所蔵の現代作品が一堂に会するという世界初の展覧会が開催されている。

暗い空間の中に作品が浮かび上がるユニークな会場構成は、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之によるデザイン。「時」を意識しながら回遊する展示空間を創出し、これまでにない鑑賞体験ができる。



カルティエは、過去の創作に焦点を当てた回顧展を何度か催してきた。しかし、今回のような展覧会は初めてだ。その特色は何より作品の選択にある。カルティエが所蔵する宝飾品や時計、資料のみならず、通常公開されることのない個人所蔵の貴重な現代作品も数多く加えた約300点が一堂に会しているのだ。しかも、1970年代から最近までの現代デザインに焦点を当てた世界初の試みという点も非常に興味深い。カルティエの宝飾品と時計を長年にわたって見続けてきた筆者にとっても、今回は新鮮な発見に満ちていた。


素晴らしいのは、これらの現代作品に時を超越しカルティエならではの美意識が鮮明に反映されているところだ。試しに個々の展示品の製作年代を伏せたとしたら、それがはたして過去のものか現代のものか区別がつくだろうか?過去の作品に宿る尖鋭なモダニティと現代の作品に宿る優雅なヴィンテージ感が融合し、紛れもないカルティエの美の世界が表現され、圧倒的なのである。


「時間」がテーマなのだから、やはり時計も見どころだ。1912年の「サントス デュモン」、1915年の「トノー」、1920年の「タンク」など、腕時計の歴史を語る上で欠かすことのできないアイコニックな名作に出合える。これらの腕時計が創作されてから1世紀もの時が経つが、こうして21世紀に残る不滅の名作にはまったく古さが感じられず、ミュージアムピースどころか現行品のように見える。そう、本展の意図は、じつはそこにこそあるのではないだろうか。


《「サントス デュモン」ウォッチ》カルティエパリ、1912年イエローゴールド、ピンクゴールド、サファイア1個、レザーストラップ カルティエ コレクション


最初に出合う1908年製造の時計を修復し逆行化した杉本博司の作品《逆行時計》が時間を巻き戻し、来場者を現在から過去へと誘うことではじまる回遊式の展示は、過去と現代のミステリークロックが並ぶ序章「時の間」(写真下)によって本展の「時間」というテーマをまず提示し、「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」という3つの章で構成されている。



第2章「フォルムとデザイン」の一角には歴史的に重要なカルティエの腕時計を展示。1912年の「サントスデュモン」から「トノー」「トーチュ」「タンク」まで名作が並ぶ。展示品と合わせ各章を引き立てる展示の演出も見どころだ。『カルティエ、時の結晶』は12月16日(月)まで。国立新美術館企画展示室2E東京都港区六本木7-22-2Tel.03-57778600(ハローダイヤル)開館時間10:00~18:00(金・土~20:00/入場は閉館30分前まで)火曜休館。


文=菅原 茂


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