【11月14日 CNS】中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)のラサ(Lhasa)にあるポタラ宮(Potala Palace)は、毎年恒例となっている壁の塗装シーズンを迎えている。7日には、塗装にハチミツや牛乳を使っているという話題がSNSで「おいしそう!」と話題となり、閲覧数は6000万件以上に達した。

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 ポタラ宮の塗装に使う原料は、主にチベットの当雄県(Dangxiong)羊八井(Yangbajing)で生産された白灰で、ハチミツや牛乳、砂糖、氷砂糖、黒砂糖がブレンドされているのが特徴。これらはすべてチベット仏教の信者たちが持参し、宮殿に寄付している。

 牛乳やハチミツなどを塗料に使うのは「ぜいたく」「もったいない」と思う人もいるだろうが、塗料の接着性を高め、防虫や腐食防止の効果があり、壁の色もよりきれいに保つことができるという。

 7世紀のチベット王ソンツェン・ガンポ(Songtsen Gampo)の時代に建てられ、1300年以上の歴史を持つポタラ宮は、チベットで最大かつ最も保存状態の良い古代建築遺跡群だ。多くの歴史的文物と貴重な宝物があり、1994年に世界文化遺産に登録された。信者らがポタラ宮の補修に自発的に参加するようになったのは1980年代までさかのぼり、1990年代以降に参加者が徐々に増えていった。

 ポタラ宮関係者によると、地球温暖化によりラサの雨期の降水量が年々増え、壁の塗料が落ちる問題が深刻になっている。このため、最近の塗料は赤粘土や白灰、粘着剤などでつくったものに統一。ポタラ宮管理事務所は2年前から信者に食材を持ち込まないよう通知しており、今年になって信者らはほとんどハチミツや牛乳などを持参しなくなった。

 それでも今年も変わらず、若者から親子、お年寄りまであらゆる世代の信者が塗装作業に参加。バケツなどの作業道具を持ち寄り、細心の注意を払って壁を塗装していた。(c)CNS/JCM/AFPBB News