【11月11日 AFP】米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)のダラ・コスロシャヒ(Dara Khosrowshahi)最高経営責任者(CEO)は11日、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が昨年トルコのサウジ総領事館内で殺害された事件とウーバーの自動運転車の事故を同列に扱っているような発言をしたことについて、謝罪して発言を撤回した。

 コスロシャヒ氏は前日の10日、米ニュースサイト「アクシオス(Axios)」のインタビューに応じた。カショギ氏の事件にサウジが関与したとされているにもかかわらずサウジの政府系ファンドのヤセル・ルマイヤン(Yasir al-Rumayyan)総裁がウーバーの取締役になっていることについてリポーターから厳しく追及されると、コスロシャヒ氏は「(サウジアラビア)政府は(カショギ氏殺害で)過ちを犯したと言ったと思う」「人は過ちを犯すが、決して許されないということはない」などと、カショギ氏の殺害と昨年3月に起きたウーバーの自動運転車による歩行者の死亡事故を同列に扱っているような発言をした。ルマイヤン氏のファンドはウーバーの5番目の大株主。

 この発言に米国では批判が上がり、コスロシャヒ氏は11日朝、カショギ氏殺害事件に関する自身の発言を謝罪。「ジャマル・カショギ氏の身に起きたことは許されることも、忘れられることもない。私があの事件を『過ち』と言ったのは間違っていた」とツイッター(Twitter)に投稿し、発言を撤回した。

 さらにコスロシャヒ氏は「あの瞬間、私自身の考えとは違うことを述べていた。わが社への投資家は長らくこのことに関する私の見解を知っているし、アクシオスで明確に発言しなかったことを謝罪する」とも述べた。

 アクシオスのリポーターによれば、コスロシャヒ氏はインタビューの直後に電話をかけてきて、カショギ氏殺害事件に関して自身が「用いた言葉」に後悔していると述べたという。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)にコラムを寄稿していたカショギ氏が、2018年10月2日にトルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館を訪れた際に窒息死させられて遺体を切断されたとされる事件で、サウジの実質的な指導者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)は激しい批判を受けた。(c)AFP