【11月12日 AFP】男子テニス、ATPワールドツアー・ファイナルズ(ATP World Tour Finals 2019)は11日、2日目が行われ、大会第1シードのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は昨年覇者で第7シードのアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)に6-2、6-4で敗れ、黒星発進となった。

 英ロンドンのO2アリーナ(O2 Arena)で開催されているシーズン最終戦でこれまで一度も優勝したことがないナダルは、故障の影響が不安視される中で、本来の調子とはかけ離れたプレーを演じた。

 現在は第2シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とシーズン最後の世界1位争いも繰り広げているが、先日のパリ・マスターズ(Rolex Paris Masters 2019)では腹筋の張りで準決勝を棄権しており、前週の練習でもサーブを全力で打てていなかった。

 33歳のナダルは、これまでズベレフに5戦全勝の相性の良さでこの日の試合に臨んだものの、いつになく雑なプレーでサービスゲームを二つ落とし、第1セットを奪われてしまった。

 対照的に22歳のズベレフは勢いよくスタートを切ると、第2セットの最初のゲームでもブレークに成功して試合の主導権を確保。四大大会(グランドスラム)通算19勝の王者が苦戦を強いられているのをよそに、このセットも圧倒的な強さを見せながら、試合を通して一つのブレークポイントも許さなかった。

 ズベレフが相手の倍に相当する26本のウイナーを記録したのに対し、ナダルはフォアハンドでのウイナーがわずか3本止まり。腹筋の痛みはまったく感じなかったといい、「体調のせいではまったくなかった」「一つだけ弁解するならば、今夜の自分は不十分だったということだ」と故障を言い訳にはしなかった。

「本当に重要なのは、この2日間でプレーを向上させていく必要があるということ。それに尽きる」「故障してからきょうまでの期間がとても短く、厳しい状況になるのは覚悟していたが、とにかく努力していく」

 ナダルはこの後、ステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)とダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)との試合が残されており、グループ突破を果たして準決勝の切符を手にするためには厳しい仕事が待ち受けている。

 一方、今大会に出場している24歳以下の選手4人のうちの一人であるズベレフは、不安定だったシーズンから本来の調子を取り戻し、「昨年ここではキャリア最大のタイトルを勝ち取った。その舞台で再びプレーすることは大きな意味がある」「これは自分にとって、すべてのことを意味している」と上機嫌だった。

「O2アリーナの皆さんの前でプレーすることは、シーズン中には味わえない何かがある。これは本当に特別なことだ」 (c)AFP/John WEAVER