【11月11日 Xinhua News】中国科学院南京地質古生物研究所の早期生命研究チームはこのほど、米バージニア工科大学(Virginia Tech University)の古生物学者と協力し、三峡地区で約5億5000万年前の古生物の生痕化石を発見した。化石には古生物の独特な「上下に潜り込みながら進む運動」の痕跡が記録されており、研究者は初期の動物が酸素によって行動を制御されていたことと関係しているとの見方を示した。

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 生痕化石とは、古生物が堆積物の表面や内部に残した痕跡により、さまざまな生命活動が記録された化石を指す。生物そのものの化石とは異なり、主に生物の足跡や移動の痕跡、ふん便化石などで構成される。三峡地区で今回新たに発見された生痕化石は、古生物の運動の痕跡が一つの平面上ではなく、一連の不連続な紡錘(ぼうすい)形の穴でできていることが特徴的で、これは当時の生物が海底の泥砂の中を絶えず「上下に潜り込みながら進んでいた」ことを物語っている。

 研究チームは5億年以上前の古生物がこのような独特な動きをしていた理由を分析し、海水中の酸素濃度と関連があることを明らかにした。当時、海水中の酸素濃度はそれまでより少し増えていたが、全体的には依然として低く、変動も大きかった。初期の動物は必要な酸素量を満たすため、水中に入ったり、海底面に生える藻類の間に潜り込んで酸素を「吸入」したため、化石にこうした運動の痕跡が作られた可能性が高いという。

 研究に参加した同研究所の袁訓来(Yuan Xunlai)研究員は、この古生物の生痕化石の形成年代は、エディアカラ紀と呼ばれる地質時代で、カンブリア紀に起こった生命大爆発の直前に当たると説明。エディアカラ紀を対象とした研究は、人類が環境変化と生物進化の関係を深く理解するのに役立つとの考えを示した。袁氏はまた、今回発見した化石は、初期の動物の行動が酸素濃度によって大きく制御されていたことを証明したと述べた。

 研究成果はこのほど、米地質学会誌「Geology」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News