【11月11日 AFP】人気ユーチューバーとして知られる英国のKSIと米国のローガン・ポール(Logan Paul)が9日、米ロサンゼルスでボクシング対決を行った。二人のプロデビュー戦となった試合は、多くの視聴者を集める成功を収めた一方で、プロ選手たちの意見は二分している。

 人気歌手のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)さんや人気ラッパーのウィズ・カリファ(Wiz Khalifa)さん、元ヘビー級世界王者のマイク・タイソン(Mike Tyson)氏ら多くのセレブリティーが訪れたステープルズ・センター(Staples Center)での一戦は、昨夏に英マンチェスターで行われた試合の再戦。

「インターネット史上最大のイベント」と銘打たれた初戦はアマチュアルールで行われ、引き分けに終わっていたが、この日の2試合目は6回戦のプロデビュー戦として開催され、試合はKSIが判定2-1(57-54、56-55、55-56)で勝利。ポールは4回、キャンバスに膝をついたKSIにパンチを打ち込んだとして、2ポイント減点された。

 試合後、一日中体調不良だったことを明かしたポールは負けた気がしないと話し、「またリングで会おう」「戻ってくる」と宣言。一方のKSIは、「もう終わり」「俺は次に進む」とポールと3試合目を戦う可能性を否定した。

 試合を放送したライブストリーミングサービス「DAZN(ダゾーン)」のジョセフ・マーコウスキー(Joseph Markowski)氏はAFPに対して「土曜日は大成功だった」「KSI対ローガン・ポールのイベントは、登録者数の増加に大きくつながっただけでなくマスコミの注目も集め、ボクシングという競技を全く新しい層に紹介した」「それが最初から目標だったし、結果には非常に満足している」と成功を強調した。

 しかしながら世界3階級制覇王者のベテラン、アブネル・マレス(Abner Mares、メキシコ)はツイッター(Twitter)上で「いつから『ボクシング』はこんなジョークになったんだ??」とスターユーチューバー同士の一戦をこき下ろし、次のように続けた。

「昨夜のファイトに関しては、皆それぞれ考えや意見があるのは分かるが、一定のレベルに到達するまで多大な犠牲を払い、ふさわしい対価を得ている本物のプロボクサーとしては、本当に多くの意味で侮辱だ」

「試合の放送やプロモーションのやり方のことを言っているのではない。もちろん彼らとしては経済的に賢いと言えるからだ。しかし、試合では命を脅かしかねないルール違反のパンチが何度もあったし、6ラウンドの試合で彼らが手にする金額や、本物のプロがアンダーカードになるのはいただけない」

「多くの人が面白い試合だったと言っているのは知っているが、それならストリートの薬物依存者同士のけんかも同じだ。自分は本物のプロとしての見解を話しているだけ。だが自分たちは今、狂った世界に生きているということも覚えておかないといけない」

 一方、元世界スーパーライト級王者のアミール・カーン(Amir Khan、英国)は、ファイトに好意的な考えを示し、「二人の新米ファイターが見事な試合を見せた。友人の@KSIOlajidebt、アンラッキーだった@LoganPaulをたたえたい。3試合目があっても驚かない」とツイートした。

 また、シドニー五輪のスーパーヘビー級で金メダルを獲得したオードリー・ハリソン(Audley Harrison)氏は、二人は前回の対戦から成長したと評価し、「純粋なボクシングファンは、あの試合の基本的な技術の部分をねちねち言うかもしれないが、どちらも昨年から大きく改善したし、全体的に言えばボクシングに傷をつけるようなことはしなかったと思う。特に二人にとってデビュー戦だったことを考えればね」と話している。(c)AFP