【11月11日 AFP】10日に投開票が行われたスペインの総選挙(下院、定数350)で、ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相率いる与党・社会労働党(PSOE)は第1党にとどまるものの過半数に届かず、一方、新興極右政党ボックス(VOX)が第3政党に上り詰めた。数年にわたる政治的混乱が、この結果でさらに深まることになりそうだ。

 同国の総選挙は、過去4年で4度目。サンチェス首相率いるPSOEは、4月の総選挙で勝利したものの過半数の議席を得られず、連立交渉にも失敗。その後数か月にわたって議会運営が行き詰まったため、やり直しの総選挙が実施された。

 与党勢力を強化するとしてやり直し選挙に臨んだサンチェス氏だったが、結果は3議席を失ったことで政権基盤がかえって弱まり、逆に右派勢力を強める結果となった。

 今回の選挙には、カタルーニャ(Catalonia)独立運動による危機が暗い影を投げ掛けた。カタルーニャの危機に付け込んだ極右勢力は、ここ数年でスペインの政治の舞台に大きく食い込んできた。

 投票終了から約4時間後に発表された最終結果によると、PSOEは議席数の28%を占める120議席を獲得し第1党に。次いで中道右派・国民党(PP)が約21%に当たる88議席を獲得した。一方、極右VOXは、前回選挙の2倍以上に当たる52議席を獲得し、第3政党へと躍進した。

 VOXは、4月の総選挙で24議席を獲得し、初めて議会入りを果たしたばかり。スペインでは独裁政権を敷いたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統が1975年に死去し、民主化されて以降、極右政党として最も大きな動きとなっている。(c)AFP/Hazel WARD