【11月11日 AFP】イラクで10日、反政府デモの参加者と治安部隊が衝突し、3人が死亡、数十人が負傷した。人権団体は、激しい弾圧が「大虐殺」に陥る恐れがあると警鐘を鳴らしている。

 首都バグダッドやイスラム教シーア派(Shiite)が多く住む南部地域では、統治制度の見直しを求める大規模な抗議デモが10月1日から繰り広げられている。

 10日夜には、南部ナーシリーヤ(Nasiriyah)でデモに参加していた3人が治安部隊から撃たれ死亡。バグダッドでは、数十人のデモ隊が負傷した。前日には、デモ隊と治安部隊の衝突によりバグダッドで9人、南部バスラ(Basra)で3人死亡しており、9日と10日の死者数は15人になった。

 デモ隊は10日、暴力をものともせず、バグダッドの主要デモ拠点となっているタハリール広場(Tahrir Square)で態勢の立て直しを試みた。一方で付近のハラニ広場(Khallani Square)にも、多数のデモ隊が押し寄せた。医療関係筋によると、ハラニ広場では同日、約30人が負傷した。

 イラク国旗に身を包んだあるデモ参加者は、「昨晩から治安部隊はタハリール広場からデモ隊を排除しようと突入を試みている」と語った。

 別のデモ参加者は、「当局は16年もの間、われわれのために何もしてこなかった。今、彼らは冷酷にもわれわれを殺そうとしている」と声を張り上げた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のヘバ・モラエフ(Heba Morayef)氏は、「ほぼ大虐殺になりつつある。治安部隊がデモ参加者を銃で撃って殺している中、改革や調査を行うという政府の約束はむなしく聞こえる」と述べた。(c)AFP