【11月10日 AFP】インドとパキスタン両国の画期的な合意を受け、インドのシーク教徒が9日、国境の白いゲートを通過して、パキスタンにある聖地への歴史的巡礼を実現した。

 数百人のシーク教徒は明るい表情で、国境に近いインド北部デラババナナク(Dera Baba Nanak)から、厳重な警備体制が敷かれた新設の出入国管理施設に徒歩で移動。パキスタン側で待機していたバスに乗り、巡礼専用道経由で4キロ先のカルタルプール(Kartarpur)の聖廟(せいびょう)に到着した。

 カルタルプールはシーク教の開祖ナーナク(Nanak)最期の地とされ、白いドームが特徴の聖廟は世界中の3000万人ものシーク教徒にとっては有数の聖地となっている。

 インドのシーク教徒は、対パキスタン国境から聖廟の四つのドームを見ることができたが、巡礼は何十年もの間かなわなかった。1947年の印パ分離独立の際にカルタルプールはパキスタン側に入ったものの、域内のシーク教徒の大半がインド側に残される形になった。

 印パ両国から巡礼に訪れるシーク教徒らは、専用道の開通が両国の関係改善の先駆けとなることに期待を寄せている。

 インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相さえもパキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相に対し、「インド側の心情を尊重してくれた」ことに感謝する異例のメッセージを出した。インドはシーク教徒の聖廟巡礼を認めるよう、何年も前からパキスタンに要請していた。

 数日後の11月12日は、ナーナクの生誕550年にあたる。世界中のシーク教徒はこの日を非常に重視しており、巡礼者の入国を認める時期を決める際に考慮された可能性がある。(c)AFP/Zain Zaman, with Aishwarya Kumar in Dera Baba Nanak