【11月10日 AFP】退任を控えたスリランカのマイトリパラ・シリセナ(Maithripala Sirisena)大統領が、2005年にスウェーデン出身の10代女性を殺害した死刑囚の男に恩赦を与えた。当局者が10日、明らかにした。この動きに対し、同国内では怒りの声が上がっている。

 殺人罪で有罪判決を受けた、裕福な名家出身のジュード・ジャヤマハ(Jude Jayamaha)元死刑囚は9日、シリセナ大統領から極めて異例な恩赦が与えられ、ウェリカダ刑務所(Welikada Prison)を出所した。

 同国で16日に実施される大統領選に立候補していないシリセナ大統領は先月、ジャヤマハ元死刑囚への恩赦の要請について検討していると表明していた。

 事件は2005年、同国の中心都市コロンボ(Colombo)の高層アパートで発生。スリランカで休暇を過ごしていた被害者のイボンヌ・ヨンソン(Yvonne Jonsson)さんはジャヤマハ元死刑囚との間で口論となり、撲殺された。

 裁判によると、ヨンソンさんの頭蓋骨は64片に割れていたという。

 ジャヤマハ元死刑囚は当初、禁錮12年の有罪判決となり控訴したが、二審では死刑判決が言い渡され、最高裁判所も2014年、これを支持した。

 ヨンソンさんの姉妹はジャヤマハ元死刑囚への恩赦が発表される以前の段階で、フェイスブック(Facebook)への投稿で懸念を表明。「彼は自分がやったことに対して、全く後悔の念を示さないままだった」「残念なことに私たちは今や、これ以上ない最悪の結果、つまり私の姉妹の殺人者に対する恩赦に備えなければならなくなった」と述べていた。

 これを受け、ソーシャルメディア上にはシリセナ大統領への非難の声が殺到。「だめな大統領による極悪非道の行動」「このニュースを聞いて吐き気がした」とのツイートがあった。

 他にもシリセナ大統領が、自身を支持する放送局のオーナー一家出身である別の死刑囚に恩赦を与えようとする前に、さぐりを入れてみるためにジャヤマハ元死刑囚に恩赦を与えたのではないかとの臆測もあった。(c)AFP