ノーベル賞受賞!

リチウムイオン電池の〝発明〟にノーベル賞が贈られた!今や当たり前のように使われているリチウムイオン電池ながら、1985年までは存在しなかったということ。

もしニッカド電池しかなければ、バッテリーのサイズが2倍以上となってしまい、スマートフォンなど作れなかったことだろう。電気自動車もリチウムイオン電池を使えるようになったから成立したのであり、ニッカド電池や、ましてや19世紀から存在する鉛電池ではありえない。

新しい技術というのは社会を大きく変える力を持つ。リチウムイオン電池と同じく、30年前に今のネット社会を予想していた人など皆無に近かっただろう。自動車を取り巻く環境も、今後30年で大きく変わっていくことは間違いなさそうだ。

すでに 欧州では化石燃料を使うクルマに対する風当たりが強くなっており、今年のフランクフルト・ショーなど、会場の周辺で自動車に対する大きなデモも起きたほど。ディーゼルに対するバッシングだって収まる気配はない。

そういう世の中の流れを真正面から受け止めるモビリティが、今回紹介する燃料電池車と電気自動車、プラグイン・ハイブリッド車である。燃料電池車は風力や太陽光、地熱といった再生可能エネルギーによる電気から水素を作り、それを使って走れば二酸化炭素を出さない。同じく電気自動車も再生可能エネルギーから作った電気を使うことにより、二酸化炭素フリーになる。国連でグレタさんに怒られずに済みます。プラグイン・ハイブリッドは有用な〝繋ぎ〟だ。

TOYOTA MIRA

世界初の量産FCV(燃料電池車)として2014年に登場したトヨタMIRAI。水素を燃料とし酸素と反応させ電気を発生させる。結果、排出されるのは水だけで究極のエコ・カーと呼ばれている。水素を充填する時間はガソリンと変わらず、650km という航続距離を実現している。トランク内にあるソケットはMIRAIを発電機として使う場合の出力ソケット。停電中の被災地に貸し出されたこともある。

MIRAIを競技車両に

ということで燃料電池車から紹介していきたい。実は私もMIRAIを持っている。ただラリーやレースで使用するため、フル溶接のロールケージを組み、サスペンションも全て交換してしまった。なぜそんなことしたかといえば「ツマらんクルマに魅力など無い!」からです。

クルマ好きと燃料電池車や電気自動車論議になった際、保守勢力の皆さんから必ず出てくる不満が「ツマらない」。確かにエコ・カーの多くは静かさをアピールしてきてる。なるほど大いに物足りない!

されど観点を変えたらいかがだろうか?私の世代の鉄道ファンは煙と素晴らしいドラフト音を響かせる蒸気機関車をもって「良い!」とする。ディーゼル機関車や電気機関車など興味対象じゃなく、今や気にもしていない。ところが鉄道ファンが居なくなったかとなれば、明確に「いいえ」。皆さん動力源など二の次で「鉄道」に魅力を感じています。蒸気機関車しか興味なかった私は、ホンモノじゃなかったということらしい。

そんな私もクルマについちゃホンモノかもしれません。燃料電池車や電気自動車を見て素直に「凄いモンが出てきたな!」と感じ、興味もマックス!だからこそ電気自動車も燃料電池車もPHV(プラグイン・ ハイブリッド)も即座に買った。

ところが、でございます。楽しいかどうかと聞かれたら「楽しいけれど、やや不満あります」。そいつを発散してやろうとしての競技車両なのだった。というかクルマって楽しくなくちゃダメだと思う。誰もが解る〝華 〟も必要でしょう。

MIRAIを競技車両にしてみたらどうなったか?カッコ良いし、乗って楽しい!ハンドル握った皆さんの誰もが「いいね!」と言ってくれます。やがてF1やWRCだって燃料電池になると思う。

トヨタだ って「魅力の無いエコ・カーなんてダメだ!」と思ったのだろう。東京モーター・ショーで発表される次期型MIRAIはアストンマーチンのようなクーペルック!今の世の中、強烈な動力性能を持たせたって意味無し!だったらデザインでアピールしようということです。

ちなみに燃料電池車の大きな課題は「燃料の水素をどうやってコストダウンするか」だ。現在水素を800気圧のタンクで搭載している。水素を作るのは容易ながら、800気圧にするため少なからぬエネルギー&コストが掛かってます。

現状だと電気自動車の方がずっと効率が良い。水素を低コストで800気圧に出来たらノーベル賞の有力候補になるだろう。おそらくアイディアのタマゴはたくさんあると思う。30年後は普通の自動車になっているかもしれない。

NISSAN LEAF e+

日産リーフとリーフe+の違いは、リチウムイオン電池容量が40kWhから62kWhへと1.5倍以上に拡大されたこと。これにより、国内WLTCモードでの航続距離が322kmから458kmへと延長した。またモーターの出力も150psから218psへとアップ、トルクは32.6kgmから34.7kgmへと増大している。家庭用の3kW充電での充電時間は24.5時間ほどとなる。

欧州は高級車からEV化

燃料電池車の前に普及すると言われているのが電気自動車だ。少し前まで電気自動車の弱点だった航続距離は、今回乗ってきたリーフe+で400km程度(実力に近いWLTC モードなら458km)。しかも400km走った時の電気料金は夜間電力契約なら600円くらいだ。

気になる動力性能だけれど、サスペンションとタイヤだけ交換した私のリーフ e+すら筑波サーキットを1分10秒台で走ってしまう。一般道だと「使い切れないほど」の加速力を持つ。

興味深いことに欧米では高価なクルマから電気自動車化が進んでいる。10年前まで近距離を移動するためのコミューターなどを電気自動車に移行させていくと言われていたものの、直近の流れを見るとテスラの対抗馬としか思えないポルシェ・タイカンや、メルセデス・ベンツEQC、ジャガーIペイスのような大型&高性能モデルばかり。どうやらガソリン車と違う魅力を打ち出そうとしているのだろう。実際、遠からずニュルブルクリンク最速は電気自動車になってしまうかもしれない。

一方、本格的にガソリン車からの代替を想定しているリーフや、VWのID3といった売れ筋モデルも出てくることだろう。リーフe+に乗ってみると、ほとんどガソリン車と同じ使い勝手を持つ。

無充電で400km走れるため航続距離不足を感じることもなく、使った電気は自宅で夜の間に貯められる。前述の通り走行100kmの電気代は150円くらい。20km/ℓ走るハイブリッド車ですら700円掛かります。あと100万円安くなったらイッキに普及かもしれない。

電気自動車の面白さはエネルギーを自給自足出来ること。クルマ1台分のガレージの屋根に太陽光発電パネルを設置するだけで、リーフであれば年間7000km走れるくらいの電力を作れてしまう。

現在400万円台前半の価格が(リーフe+の場合、補助金を受ければ380万円)、50万円くらい下がると、ガソリン代まで考えたら同じクラスのプリウスやカローラより安くなる。クリーンで、リーズナブルで、実用的なら、速くて静かで最高だと思う。

MITSUBISHI OUTLANDER PHEV

2018年7月にマイナーチェンジを受け、よりEVらしさが強められた。リチウムイオン 電池の出力および容量を拡大、電動走行可能な距離は60.8kmから65.0kmに伸びている。また、発電機とリア・モーターも出力が向上、さらに4気筒エンジンの排気量が2リッターから2.4リッターに拡大されている。ボディ左にガソリンの給油口、右に充電用ケーブルの差し込み口を持つ。

燃費規制への対応

アウトランダーPHEVは、50kmくらいまでなら電気自動車として使え、それ以上の距離を走るなら燃費の良いハイブリッド車になるというもの。電気自動車とハイブリッド車のイイトコ取りをしたと思えばいいだろう。

50km走るための電気料金100円!ハイブリッド・モードだと50kmで500円分のガソリンを使うため、毎日の移動距離が少ない人には、素晴らしくリーズナブル。このタイプのクルマも、ガレージの屋根に太陽光発電パネルを付ければ二酸化炭素を大幅に減らせます。

ちなみにPHVとPHEVは全く同じもの。正式には「プラグイン・ハイブリッド・ヴィークル」だ。〝E〟を付けると電気自動車っぽくなりますね。電気自動車としての性能は様々。25km程度しか走れないタイプから、80km走れるタイプもある。

というのも電気自動車として使える距離を増やそうとすれば電池をたくさん搭載しなければならず、重くて高額になってしまう。自動車メーカーにとって最大の効能はカタログ燃費を良く見せられること。

御存知の通り欧州は非常に厳しい燃費基準を定めており、2021年にプリウスと同じ24km/ℓというメーカー平均燃費を達成しなければならない。さらに2025年は35km/ℓ程度まで引き上げる方向で動いている。どこのメーカーも電気自動車やPHVを相当数販売しないとクリア出来ないのだ。

つまり欧州メーカーがラインナップしているPHVは燃費対策車だと考えていいだろう。また、フル加速時はモーターパワーも上乗せさせられるため、重い電池を搭載していても加速性能をキープ出来ます。

というように欧州のPHVを見ると皆さんハイパワーをキープしたままカタログ燃費を稼ぐためなのだが(走る楽しさを残すためにPHVを選んだ、と言い換えても良い)、アウトランダーPHEVはパワフルなモーターなど使わず、純粋に二酸化炭素の排出量を減らすというコンセプト。

今後、普通の乗用車はアウトランダーPHEVのようになっていくと思っていいだろう。繰り返すが「近距離なら電気自動車として使え、遠くまで行くときは燃費の良いハイブリッド車になる」です。

以上、環境対応車について紹介してみた。乗って楽しいかと聞かれたら「着実に楽しくなってますよ!」と答えたい。次期型MIRAIを見ると、環境自動車もカッコ良さを追求出来ることが解るし、自動車メーカーだってクルマの魅力を認識しているようだ。リーフe+は電気自動車レースで私の相棒として起用しており、低い重心高からくる素晴らしいハンドリングと鋭い加速を満喫してます。はたまた実用車として使った時のアウトランダーPHEVの経済性は素晴らしい!

ということで新しいモノ好きの私は次世代のパワー・ユニットを存分に味わっていこうと思っています。

トヨタMIRAI

  •  駆動方式 FCスタック前輪駆動
  •  全長×全幅×全高 4890×1815×1535mm
  •  ホイールベース 2780mm
  •  トレッド 前/後 1535/1545mm
  •  車両重量 1850kg
  •  エンジン形式 交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
  •  総排気量 ―――
  •  最高出力 154ps
  •  最大トルク 34.2kgm
  •  変速機 ―――
  •  サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
  •  サスペンション 後 トーションビーム/コイル
  •  ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク/ディスク
  •  タイヤ 前&後 215/55R17
  •  車両本体価格 740万9600円

日産リーフe+

  •  駆動方式 前輪駆動
  •  全長×全幅×全高 4480×1790×1545mm
  •  ホイールベース 2700mm
  •  トレッド 前/後 1540/1555mm
  •  車両重量 1670kg
  •  エンジン形式 交流同期電動機
  •  総排気量 ―――
  •  最高出力 218ps
  •  最大トルク 34.7kgm
  •  変速機 ―――
  •  サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
  •  サスペンション 後 トーションビーム/コイル
  •  ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
  •  タイヤ 前&後 205/55R16
  •  車両本体価格 423万9400円

三菱アウトランダーPHEV

  •  駆動方式 フロント横置き4WD
  •  全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
  •  ホイールベース 2670mm
  •  トレッド 前/後 1540/1540mm
  •  車両重量 1910kg
  •  エンジン形式 直列4気筒+前後モーター
  •  総排気量 2359cc
  •  最高出力 128ps/4500rpm+前82ps+後95ps
  •  最大トルク 20.3kgm/4500rpm+前14.0kgm+後19.9kgm
  •  変速機 ―――
  •  サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
  •  サスペンション 後 マルチリンク/コイル
  •  ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク/ディスク
  •  タイヤ 前&後 225/55R18
  •  車両本体価格 499万1800円

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正 車両協力=ベストカー

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