【11月9日 AFP】米国で電子たばこの使用に関連した肺疾患が広がっている問題で、米疾病対策センター(CDC)は8日、化学物質「ビタミンEアセテート」が原因とみられると発表した。同国では、電子たばこに関連するとみられる肺疾患の患者が2000人を超え、死者は39人に上っている。

【関連記事】電子たばこは「間違いなく有害」 WHOが規制訴え

 ビタミンEアセテートは、精神活性物質「テトラヒドロカンナビノール(THC)」を含む電子たばこの増粘剤として使用されることがあり、拡大している肺疾患の原因である可能性が以前から指摘されていた。

 CDCがこのたび患者29人の肺液を調べたところ、全員からビタミンEアセテートが検出された。

 CDCのアン・シュチャット(Anne Schuchat)副所長は、「今回の検査結果は、ビタミンEアセテートが肺の中の原発部位に存在するという直接的な証拠を示している」と指摘。ビタミンEアセテートは懸念すべき「非常に強力な要因」だと述べ、今回の調査は大きな進歩だと評価した。

 シュチャット氏はさらに「これまでの検査では、原因の可能性がある有毒物質は他に見つかっていない」と述べた。

 ビタミンEアセテートは多くの食品に含まれ、スキンクリームなどの化粧品やサプリメントにも使用されている。しかし、吸入されると肺の機能を妨げる性質がある。

 CDCは、因果関係を特定するにはさらなる調査が必要だとしており、当局が「電子たばこ(ベーピング)製品の使用に関連する肺損傷(e-cigarette or vaping product use associated lung injuryEVALI)」と呼んでいる疾患は、複数の物質が原因になっている可能性もあると指摘している。(c)AFP/Issam AHMED