【11月9日 AFP】男子テニスの「ビッグ3」として君臨するロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、著しく台頭してきている次世代の選手を称賛し、テニス界の未来は「安泰」だと語った。

 英ロンドンで10日に開幕する今季のシーズン最終戦、ATPワールドツアー・ファイナルズ(ATP Finals 2019)には、2007年大会で初めて顔をそろえたフェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人が優勝候補として健在している。

 しかし、今年のO2アリーナ(O2 Arena)でプレーする8人の中には、昨年大会の覇者でドイツのアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev)、ロシアのダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)、ギリシャのステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas)、イタリアのマッテオ・ベレッティーニ(Matteo Berrettini)ら期待される若手選手が大勢集結し、重鎮からの覇権奪取を目指している。

 残る1人のドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)は、26歳と他の若手ライバルより少し年齢が上だが、今季最も優勝回数が多い選手として大会に臨む。また、23歳のメドベージェフは、マスターズ1000(ATP Masters 1000)で二つのタイトルを手にしたほか、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)でも決勝まで勝ち進んで世界ランキング4位まで上り詰めるなど、今年は次世代選手の先頭を走ってきた。

 一方、全仏オープンテニス(French Open 2019)制覇を果たし、全米オープン決勝でもメドベージェフを退けて優勝した33歳のナダルは、テニス界がエキサイティングな瞬間を迎えているとの認識を示した。

 8日、大会前の記者会見に臨んだトップシードのナダルは、「それが正常なサイクルというものだ」「テニスにとって健全なことだし、彼らは本当に強い」とすると、「われわれのスポーツにとって、良いライバル関係が続くことになるだろう」「願わくば、彼らとはもうしばらく戦い続けていけるとうれしい。だけど、その後はテレビで観戦するのが楽しみだ」と付け加えた。

 38歳のベテランとして出場するフェデラーは、昨年大会でのズベレフの優勝が他の選手の刺激になっていると分析しつつ、若手のライバル関係を見守ることを楽しみにしており、「初出場の若手選手のことは喜ばしい。『ツアーで才能のある選手が出てきた』とか言われるのとは別のレベルの話だからね」「そういうふうに言われるのと、すでに母国で国民的なヒーローになったり、世界のトップ10に入ったりすることには、難しさという点で違いがある」と語った。

 フェデラーをはじめとするビッグ3は、15年にわたって男子テニス界を席巻しており、誰がその牙城を崩すのか予想する状況が長らく続いている。

 今季は全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2019)とウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)を制したジョコビッチは、自身を含むビッグ3は自分たちが健在であることを喜ぶ一方で、テニス界が「安泰」であるとの考えを示した。

「彼らはコート外でも素晴らしい」「このスポーツを理解しているし、リスペクトしている。彼らが示す資質も好ましい。自分たちがキャリアを終えたら、もちろん彼らの応援を楽しむつもりだ」

 22歳のズベレフは、フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人が今もテニス界の頂点にいるのはふさわしいと認めており、「これからの2、3年がとても面白いだろう。なぜなら、彼らがまだ健在で世界トップレベルでプレーしているからだ。彼らは今でも僕らより強い」と語った。

「それが事実なのは、ビッグトーナメントで優勝しているのが彼らだからだ。だけど、今は若手選手たちがかなりの勢いで台頭してきているし、これからどうなっていくのか興味深いところだ」 (c)AFP/John WEAVER