【11月8日 時事通信社】中国広東省の広州市中級人民法院(地裁)は8日、愛知県稲沢市の元市議、桜木琢磨被告(76)に、麻薬密輸罪で無期懲役の判決を言い渡した。2014年8月の結審以降、同法院は「案件の複雑さ」を理由に判決まで5年以上引き延ばしたが、新たな証拠もないままの実刑判決。司法の独立を認めず共産党が全てを指導する「中国式法治」の不透明さは拭えない。

 桜木被告は13年10月、広州市の空港でスーツケースから3キロ超の覚せい剤が見つかり、14年8月、「懲役15年か無期懲役または死刑」を求刑された。桜木被告は一貫して「中に覚せい剤が入っているとは知らなかった」と無罪を主張したが、8日の判決は、桜木被告が事前に荷物を詰め替えていたことなどから、中身を「明らかに知っていた」と認定。共に起訴されたアフリカ出身の男2人は、執行猶予付き死刑と無期懲役を命じられた。

 ただ、結審以降、補充審査もなく、判決公判でもこの間の判決延期について説明はなかった。主犯格とされる自称ナイジェリア人の男も逃走したままだ。実際は「(裁判所を指導する)党中央政法委員会から指示が下りるのを待っていただけ」(中国の法曹関係者)とみられる。

 今回の事件とは性格が違うが、中国では15年以降、スパイ行為に関与した疑いなどで拘束される日本人が相次ぎ、これまでに8人に実刑判決が出て、1人が公判中。今年9月には中国政府のシンクタンクに招かれて北京を訪問した北海道大教授が拘束された。

 ほとんどの場合「中国の国内法に違反した疑い」と公表されるだけで、いつ、どこで、何をやって拘束されたのか分からない。世論調査で日本人の中国への印象が改善しない背景には、こうした不透明な「法治」があるのは間違いない。(c)時事通信社