【11月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8日、中国からの輸入品に対する関税の撤回で合意には至っていないと発言した。米中貿易戦争の収拾に向け大きな進展を期待する最近の楽観的見方に水を差した形だ。

 中国は今週、両国が先月の部分的合意の一環として関税の段階的撤廃で合意したと主張していた。トランプ氏の今回の発言は、この主張への反論とみられる。世界の株式市場は今月、貿易をめぐる緊張緩和への期待から上昇していた。

 トランプ氏はホワイトハウス(White House)で記者団に対し、中国は「(関税の)撤回を望んでいる。私はまだ何にも同意していない」とし、「中国は、完全な撤回ではなく、一部の撤回を望んでいる。私がそれはしないと分かっているからだ」と語った。

 さらにトランプ氏は、中国政府は自国経済が打撃を受けているため合意に前向きだとの見解を繰り返した。ただ、経済指標からは米中の対立が米産業にも打撃を与えていることが示されており、2大経済大国の対立をめぐる不安は世界経済の成長鈍化を招いている。

 トランプ氏は「彼ら(中国)は合意を私よりも強く望んでいる」とし、第1段階の合意の署名は米国内で行われると表明。場所はアイオワ州となる可能性を示唆した。(c)AFP/Sebastian Smith and Heather Scott