【11月8日 時事通信社】反政府抗議活動が続く香港で、警官隊とデモ隊の衝突現場付近で負傷し、重体となっていた男子大学生(22)が8日午前、死亡した。大学生がデモに参加していたかどうかなど当日の行動は不明だが、警察側の発射した催涙ガスから逃れようとして高所から転落した可能性などが指摘されている。6月から続く抗議活動に関連して死者が出たのは初めて。デモ参加者の怒りや反発がさらに強まり、抗議活動の激化も予想される。

 香港メディアによると、死亡したのは香港科技大2年生の周梓楽さん。4日未明、ベッドタウンである新界地区の駐車場内で倒れているのを発見された。立体駐車場の3階から約4メートル下の2階に転落したとみられ、頭を強く打った。救急搬送されたが意識不明の重体だった。当時、駐車場外では警官隊とデモ隊が激しい衝突を繰り広げていた。周さんは、ガスマスクなどを着けていなかったという。

 周さんの行動については「警官隊の追跡から逃れようとしていた」という目撃証言があるほか、一部の香港メディアは「警察のせいで救急隊の到着が遅れた可能性がある」と伝えた。これに対して警察は「誤って転落したのではないか」と説明し、救助の妨害も否定した。警察の説明によると、催涙弾の発射地点は転落現場から約120メートル離れていたとされ、真相は不明だ。

 死亡が報じられた8日、香港島のオフィス街では急きょ、追悼集会とデモ行進が呼び掛けられた。会社の昼休みを利用して参加した男性(29)は「死因に関して不透明な点が多い。警察にとって不都合な事実が隠されているのではないかと皆疑っている」と話し、警察当局への反発はかつてなく高まっている。香港科技大でも追悼集会が開かれたほか、週末にかけて複数の抗議活動が計画されている。(c)時事通信社